世界が終わっても番外編「相合傘」







「みてみてティエリア〜」
「どうしたの?」
「あのね、昔きてた服作ってみた」
リジェネが着ている服は、昔イノベイターとして生きていた頃、月面の静かな空間で過ごしていたときに着ていた服だった。
どこか天使を思わせる、少しひらひらした服。
「これはね、ここの胸の上のカット、鎖骨が見えるのがポイントなんだよねぇ」
服を広げて、くるりとまわるリジェネ。

白い肌が見える鎖骨部分のカットは、大胆といえば大胆だ。



ぼけーっと見つめていたティエリアが、素直に感想をもらす。
「リジェネって、美人だよね」

「もー、当たり前じゃない!褒めても何も出てこないよ!」
クスクスと、小さく笑う。
「じゃーん!」
「あ、それ・・・・」
懐かしい、ピンク色のカーディガン。
「ティエリアの昔の服も作ってみたの。着てきて」
「うん・・・・」
ティエリアは素直に着替える。
ティエリアが下着姿になるのを、リジェネは顔色一つ変えずに見ている。
「ティエリアは、美人っていうよりかわいいよね」
「そうかな?」
「かわいいよ」
リジェネはティエリアに抱きつくと、カメラのシャッターをきった。

「リジェネ?」
「えへへー、記念記念」

「懐かしいなぁ。このピンクのカーディガン」
「かわいいかわいい」
リジェネは上機嫌で歌でも歌いだしそうだ。



シンメトリーを描く二人。

リジェネはティエリアの心臓の上に手を置いて目を瞑る。
ティエリアはリジェネの心臓の上に手を置いて目を瞑る。

「世界に君がいたことに感謝を」
「君と出会えたことに感謝を」

「俺にも俺にも」
部屋の隅っこでじーっと二人に見ほれていたニールが自分をさす。
「お前はどうでもいい」
「リジェネひど!」
「いこ、ティエリア」
リジェネがティエリアの手を引っ張って、部屋を出る。

ティエリアはニールににこりと笑って、手を振った。
ニールも手を振る。

ツイン、兄弟の時間。
リジェネもティエリアもイノベイターであると同時にイノベイドである。
周期的にリジェネには性別が現れるが、リジェネも無性の中性だ。
ティエリアは女性よりの中性で、リジェネは男性よりの中性。
二人は仲良く、そのままの格好で家を出て軽く散歩する。

「雨が降りそうだね」
「傘もってこうか」

「ほらよ」
ニールが一つの傘を放り投げてくれた。
ポツポツと、雨が降り始めた。
リジェネは傘をさして歩きだす。
「相合傘。恋人みた〜い」
二匹の子猫はじゃれあいながら散歩する。

ニールは煙草に火をつけて、二人の帰りをただぼーっと待つのだった。

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タチバナ様へ。
これリジェティエになるのだろうか。いつも萌えをありがとうございます。
なんとなくゆんたっちな下絵になった・・・。
くるりんリジェネの髪がこんなにむずいなんて!
しかも初描きだよ