「ニール、そこの問い間違えてる」 「あ、ほんとだ。サンキュー」 王立図書館で、ニールとティエリアは卒業試験の勉強をしていた。 二人とも、人間の年でいえば18歳になった。 成人の年だ。 次のラファエルとなることが決まっているティエリアは、本来なら王家の人間と結婚しなければならない。 だが、すでにニールと婚約している。 誓いのアメジストとガーネットのペアリングが二人の指には光っていた。 「ハイスクールを卒業したら、休暇を貰うんだ。そして、人間世界に旅に出よう」 「生まれ故郷のアイルランド見てみたいな」 ティエリアの守護天使であるニールの翼は黒。 上位天使の守護天使の翼は黒である。 黒い翼をもつ守護天使は、階級は上だが身分は平民でとてもではないが、公爵、しかも王家の流れをくむティエリアと結婚できるような身分ではないが、ジブリールが二人の間をとりもってくれた。ニールを伯爵家の養子にもした。 四大実力者の特にミカエルの次に力をもつジブリールの言葉に逆らえる者は少ない。 「卒業ですか。はやいものですね」 「ジブリール!」 ティエリアはジブリールに抱きつく。 「ジブおばさん」 「誰がおばさんかー!」 カッと、ニールの言葉に牙を向く慈悲の天使。 「かつて、お前の守護天使になれて俺がお前に出会ったとき、言った言葉覚えてる?」 「覚えてるよ。今度は一人にしない、連れて行く。神を裏切ってでも。お前に永遠の愛を・・・でしょ」 二人はジブリールをその場に残して、試験勉強もほったらかしてエデンに遊びにいく。 エデンには、刹那やリジェネの魂が留まっているから。 祈りの数だけ。 ティエリアの祈りは、今はニールと永遠に共にいられることにかわった。 たとえ地球が滅びても、新しい宇宙、新しい銀河で次なる星がいくつもある。 天使たちは今日も誰かの守護天使となるため勉強を続け、そして誰かの魂を至高天に導く。 祈りの数だけ愛を。 エーテル・ゼロ。天使となってまで記憶を継承する愛のかたち。 主は、天の最上階の塔でこう答えた。 「最下層天使をなくしなさい。身分制度は廃止です」 それは、ティエリアが3代目ラファエルとなって103年目のこと。 その傍には、夫であり守護天使であるニールの姿がいつもあったという。 祈りの数だけ The End |