警備員たちは戻っていき、最高級のもてなしをそれから受けることとなった。 「ティエリア・・・・なんか、なんかおかしくない?」 「何が?」 「警備員のエターナルに、自分がなんっていったか覚えてる?」 「ううん。覚えてない」 ティエリアはきょとんとしていた。 刹那が、ティエリアの首筋を見る。 ロックオンがつけた牙のあと、いわゆる「俺のものだ」というシンボルマークが大分薄くなっていた。 「刹那?」 「最後に、ロックオンに吸血されたのはいつだ?」 「んー。一ヶ月前?」 「それまでは、最低週に何回吸血されていた」 「んー。ほとんど毎日。あいても2、3日かな。2、3日たったら、ロックオンは吸血忘れてたって急いで僕の血を吸うんだ」 刹那は、大きく息をついた。 「刹那?」 「リジェネも、どうかした?アレルヤも」 「君ね・・・・昨日、僕らになんていったと思う?」 「え。覚えてない。僕、なんかいったの?」 「私は血の一族の神の血族。ネイと対等なる者。・・・・・そういったんだよ」 「え!」 ティエリアはびっくりした。 「ロックオンは・・・認めたくないが、あんなちゃらんぽらんでもネイとして血の一族の神としての血をもっている。その血族にされたティエリアも、本来なら同じ血の一族の神になるんだよ」 「そんなこと、ロックオンは一言も」 「だから、毎日吸血して、そうなる因子を取り除いていたんだろう。血の一族の神の力は、大いなる災厄になる」 「どうしよう・・・・僕、一ヶ月もロックオンに吸血してもらってない」 「主・・・にゃあ。主の中の新しい力が目覚め始めているにゃ。それが血の一族の神の力かにゃ?」 「そうだろうね。大変なんだねぇ、君も。ネイ様の血族にされた時点で、まぁ覚悟はいるんだけど。ネイ様は、全然君に説明してなかったんだね」 アレルヤがティエリアの頭を撫でる。 「僕は・・・・どうなろうとも、僕だ。自分を失ったりしたくない」 「どうなるかは、僕だって分からない」 「俺も分からない」 「僕も」 「主、ごめん僕もだにゃあ」 「大丈夫。僕は、僕だ。ティエリア・アーデ。イノベイターのヴァンパイアハンターで、ロックオンがマスターでロックオンの血族で、そしてロックオンの恋人」 ティエリアの中で、血がざめわきだした。 ティエリアの額に紋章が浮かび上がる。 「何!」 脳裏に、ロックオンの笑顔が見えた。 (怖くないから、受け入れて) (はい・・・・あなたを信じます) 光が満ちる。 それがおさまった時、ティエリアの背中には、血の一族の神の証である、真っ白な翼が六枚あった。 覚醒したのだ。 ティエリアは、血の一族の神として。 NEXT |