血と聖水外伝「ティエリアとロックオンの出会い」12







「おーい朝だぞう」
「むにゃむにゃ・・・・あと1時間」
「もう朝っつか昼だ!!」
惰眠を貪るティエリアの布団をひっぺがす。
「ロックオンのケチー!!」
「ケチーだにゃ!!」
ティエリアのベッドで丸くなっていたフェンリルは、炎のブレスをロックオンにむけて吐いた。
「ぎゃー、燃える、燃える!!あちちちーー!!」
ロックオンは前髪を炎でメラメラ燃やしながら、飛び跳ねる。
「ロックオンの名において命ずる、アイシクル、出でよ!!」
フェンリルよりも更に上位の氷の精霊アイシクルを呼び出して、ロックオンは氷付けになった。
カッキーンって凍ったロックオンで、シャリシャリとフェンリルが爪とぎをする。
「アイシクル・・・・やりすぎ」
「ごめんなさーい」
戦乙女、神話のヴァルキリーの姿をした毅然として麗しい精霊は、アイスランスをもったまま、主であるロックオンにペコリと頭を下げた。
「いいから・・・なんとかしてくれ」
「ロックオンをカキ氷にするだにゃ!!」

シャリシャリと、爪でロックオンの氷を削っていく。
「あああ!!!今、今足が削れたぞこらあああ!!」
氷付けになったまま、でも言葉は出せる。さすがというかなんというか。
アイシクルは、シャリシャリとロックオンを削るフェンリルを抱いて、ティエリアに持たせる。
「にゃんにゃの?」
「ロックオンのかき氷なんてまずいから、いちごのかき氷でも作ろうか」
ティエリアが、フェンリルを頭の上に乗せた。
「にゃーにゃーにゃ。食べたいにゃー。主、作ってくれるのかにゃ?」
「うん。じゃあ、ロックオンはやく溶けてくださいね」
「ちょ!!放置プレイ!?まさかの放置プレイ!!ああああ癖になる・・・わけねええええ!!!」
ロックオンは叫んだ。
そのまま、ロックオンはヘルブレス、獄炎の吐息を吐いて自分を溶かす。
「あーあー。関節がいてぇ」
コキコキと関節を鳴らしながら、ロックオンは下に降りた。

「アイシクルにゃん、おいしいのにゃん」
氷の精霊アイシクルの作った氷をかき氷にして、いちごのシロップをつけて、ティエリアとフェンリル、それにアイシクルまでテーブルについてかき氷を食べていた。
「こらー!!フェンリル、それ俺の椅子だろ!!」
「アイシクルにゃんに席譲ったのにゃン」
「譲られました」
「アイシクル・・・・戻っていいぞ、もう」
「いやなのにゃん!!アイシクルにゃんは、僕より偉いのにゃン!一緒に遊ぶのにゃん!!」
アイシクルの膝に飛び乗るフェンリル。
「じゃあ俺も遊ぶ〜愛してるぜー」
ロックオンは、アイシクルのアイスランスで貫かれた。
「ちょ、まじひでぇぇ!!主に向かってこれあり!?」
「殿方は好きではないので・・・主とはいえ、戯れはご遠慮願います」
行儀正しく、アイシクルはペコリと頭を下げた。
アイスランスで貫かれた傷口は、すぐに再生した。

背後でパキポキっと骨を折る音が聞こえる。
「あー。あ、冗談だから、冗談だから!!マジでなるな、ティエリア!!おい、おいってば!!」
「僕だけを愛するって誓いましたよね?」
にこにこ。
笑顔が怖い。
「俺はお前だけを愛してるってば!!」
「昨日、シルフの精霊があなたを尋ねてきました。ふられたって・・・・ええ、どういうことでしょうね?」
「違うって!!ただの友達だって!!」
「この浮気ものおおおお!!」
「もぎゃああああああああ!!!」
ティエリアに家の外に投げ飛ばされたロックオン。

そのまま二人はぎゃあぎゃあと騒いでいたが。
2時間後。
アイシクルに連れられて、フェンリルは技の鍛錬をしていた。
ホームで、紅茶を入れて飲む二人。
いつものように、穏かに寄り添い合って、そして唇を重ねる。

「愛しています。あなただけを。血と聖水の名においてアーメン」
「お前だけを愛してる。お前を、世界の全てから守る。お前を支配して、そしてお前に支配される。ネイ・フォーリシュ・エル・フラウ・ブラッディ・ナハト・ブラッディの名において誓う。血と聖水の名においてアーメン」
「血族であるネイ・フラウ・ブラッディ・ナハト・ブラッディの名をもつ、ティエリア・アーデ・ネイ・フラウ・ブラッディ・ナハト・ブラッディの名において。あなたの永遠の愛の血族であれること感謝します」
二人は、神の名を呟かない。
血と聖水の名において誓うのだ。
それが、ティエリアの信じるもの。普通のヴァンパイアハンターのように神の名を口にしない。
「我らに、祝福あれ」
「あなたに、祝福あれ」
二人は、血と聖水の名に祝福を求める。
神の存在は、いらない。

二人は、二人で一人。
一人で二人。
愛し合いながら、世界を歩いていく。

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大幅改稿。
でもエロはあった・・・・。
前のエロちょっとかえただけだけど。
愛がなかったもの。愛がないとなぁ。
全体的に書き下ろし部分が多めかな。
一度読んだかたも、もう一回読んでみればあれ、変わったなぁってわかるかも。
まぁ、前は納得がいかなかったので、今回はこれで満足、かなぁ。
ティエリアに手を出して血族にしたってあらすじが気に入らなかったので。やっぱ、好きになって愛し合って血族にしたが一番かな。
なヴァンイパイアシリーズ、邂逅編外伝でした。