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2F、3Fと螺旋階段を登っていく。3Fまでは皆メイドだった。
アレルヤの呪文で、全てのメイドは土くれと化した。それにしても、本当にメイドカフェのようだ。テーブルと椅子がたくさんあって、奥には書物を収納した棚まである。
4Fにきて、一行は慌てた。
「おい、ケルベロスだぞ!」
ニールが、奥でうなるケルベロスを見て、すぐに武器を構えた。
ケルベロス。通称、魔界の番犬。上級モンスターだ。こんなモンスターを下僕にしているとは、ここの古城の主はただのヴァンパイアではないようだ。ヴァンパイアロードか、それよりも上のヴァンパイアマスターか。

「炎よ踊り狂え!」
ティエリアが、ファイアマスターとして、炎を自在に操りケルベロスに向けて放つ。
奥から、アンデットのメイドさんたちもやってくる。
アレルヤが呪文を唱える。
「嗚呼、アーメン、ラーメン、ソーメン。神にラーメンあれ!とんこつ味で一丁!ビリュンヒルシシアス(対不死攻撃力増加)」
普通は、神にはアーメンだ。なのに、ラーメンしかもとんこつ味と指定できた。
ほんと、ただのギャグかと思えるけど、この呪文を作った聖人は無類のラーメン好きでこんな呪文になったのだ。皆、アンデットに対する魔法を唱えるときは神にラーメンあれ!と唱える。アホくさい。
ちなみに、グラフィックではラーメンがいっぱい周りを飛んでいる。本当にアホくさい。
とても神聖魔法とは思えないアホさだ。
アンデットへの攻撃力が増加したPT。ニールは聖なる銃の不死特化で襲い掛かってくるメイドをうちぬく。それでもメイドはふらふらと動く。リジェネと刹那がトドメをくわえる。
返り血で真っ赤に染まったリジェネは、まるで妖魔のようだ。妖魔とは、モンスターの中でも高位に位置し、人の姿を好んでとるモンスターのことをさす。
ちなみに、魔王リボンズとその手下たちは皆妖魔である。
一応は総帥であるリジェネも妖魔とされているが、イノベイター、人間の高位亜種族だ。

ティエリアは炎を自在に操り、メイドたちを燃やしつくすと、ケルベロスに向かって炎の矢をいった。
それを、ケルベロスはピョーンと飛んで、口をあけてパクンと食べてしまった。
「た、食べた!」
「おい、食べたぞ!」
「凄い、食べた!」
「も、もう一回!炎の刃よ切りくずせ!」
ティエリアが炎の刃を発すると、ケルベロスは全て口にくわえてまた食べてしまった。
「食べた!」
「ティエリアー。今更だけど、ケルベロスの属性は炎だよ。なんせ獄炎の番犬だからねー」
楽しそうに見ていたリジェネは、おろおろするティエリアがかわいくてかわいくて仕方なかった。
「そ、そうか。では弱点の氷で!」
ケルベロスを見れば、3つの頭をこちらに向けて、尻尾を振っている。まだ食べさせてくれるの?って顔をしている。
「う・・・」
ただのケルベロスではない。首輪をしていた。

ペットだ!
このケルベロス、この古城の主のペットだ!

「キューン」
ティエリアはその声に魔法を唱えるのも躊躇しながらも、得意の召還魔法を唱える。
「私と、汝は契約した。汝は私と契約をかわした。汝の名はフェンリル。サモニング!(召還)フェンリル!」
氷の上位精霊フェンリルを召還する。
コオオオ。
空気が凍てついた。
巨大な狼の影が現れたかと思うと、ケルベロスとあまり体格のかわらない、3メートルほどの純白の狼が召還される。
「あ、みっちゃん」
召還されたフェンリルは、目の前の敵であるはずのケルベロスを、契約者の意思に従って排除しようとしがた、その姿を見て思わずそう呟いていた。
「あれ、まーちゃん?」
ケルベロスが、人語を話す。
2匹の狼と犬は、尻尾をふってじゃれだした。
「やーみっちゃん。ドッグスクルール以来じゃないか。元気にしてた?」
「うん。まーちゃんも元気そうだね。精霊だから、契約で使役されるの大変じゃない?」
「あーでもそれが精霊だから仕方ない」
「202年ぶりかな?他のフェンリルは見たことあるけど、なかなかみっちゃんには会えなくてさぁ。何せ僕とみっチャンは、ワーウルフのみよこちゃんと恋した仲だし?いやぁ、懐かしいなぁ。あ、お腹すいてない?僕、今ヴァンパイアの旦那に飼われてるんだー。野良ケルベロスも飽きたし。エサ狩るの大変でさぁ。このビーフジャーキーおいしいよ?旦那からもらったの。こっちのドッグフードのほうがいい?」
「お、これいける」
ケルベロスにすすめられたビーフジャーキーを食べる、ティエリアの精霊フェンリルのみっちゃん。

みんな、目を点にしていた。
「ええと・・・・?」
刹那が、真っ白になっている一同を見回す。
 



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