妖魔王アルゼフにしても、ここ近隣を荒らすヴァンパイアは目障りな存在だったのだ。
魔界を住みかとする妖魔王であるが、こうやって人間界に出て来ることもある。
しなびれたアレルヤを、刹那とニールが肩をかして、螺旋階段を降りていく。
アレルヤは、ホモでオカマな妖魔王でヴァンパイアマスターでもあるアルゼフにキスをされた。
そして思いっきり血を吸われた。
そりゃしなびれるわ。おまけに心的ショックもでかいだろう。
タコのようにムチューと吸い付いて離れなかったんだから。
見ていたティエリアもリジェネも、顔を蒼くしていた。
死なないように、献血を受けながら吸血されるアレルヤ。哀れだったけど、妖魔王なんて存在といざこざをおこさないためだ。
アレルヤは逃げ出そうとしたけれど、皆に羽交い絞めにされてロープでぐるぐる巻きされて妖魔王の前に転がされた。
妖魔王はいただきマースとかいって、むちゅーとアレルヤに吸い付いた。
誰も、変わりになろうなんて思わなかった。思いたくもなかった。アレルヤでよかったと、内心でほっとしているくらいだ。
「はれひれほれ〜〜〜オカマに吸われた〜〜もうらめら〜〜」
しなびれたアレルヤを連れて、ケルベロスが待つ馬車につくと、ケルベロスは普通の子犬になっていた。
取引の内容はこうだった。
理想のムキムキな男性であるアレルヤの新鮮な血を吸わせるかわりに、妖魔王自らが、近隣を騒がせているヴァンパイアを倒すということだった。
解放されたアレルヤがキュウと伸びている間に、妖魔王は下僕をつかってそのヴァンパイアを狩ってしまった。
証拠であるヴァンパイアの灰を受け取って、皆冒険者ギルドに報告に向かう。
ヴァンパイアは死ぬと灰になる。その灰を持っていくのが、倒した証拠であった。そして、古城に住んでいるのが妖魔王であるということも報告する。
バカな人間が退治に出かけて、殺されでもしたら大変だ。
まぁ、妖魔王に限らず、妖魔は人間大好きな者が多いので、殺されることはないかもしれないが、伴侶にと迫られたり、新鮮な血を求めてアレルヤのようにムチューと吸われるかもしれないので。
何はともあれ、ヴァンパイア退治は終了。
結局、賞金の的であったヴァンパイアを自分たちの手で葬り去ることはできなかったが、まぁ葬ったことにかわりはないので、冒険者ギルドは報酬金をがっぽりとくれた。
アレルヤは、子犬・・・なぜかマルチーズの姿をとったケルベロスをいつも腕に抱いて、あの悪夢を思い出さないようにケルベロスをかわいがりまくっていた。
「あーはいもしもし?ああ?リボンズが僕がいなくて泣き出した?仕方ないなぁ」
リジェネは携帯電話で魔王軍の幹部とやりとりをすると、いつものように手を振った。
「じゃあ、僕ちょっと魔王いじめてくるね。テレポート!」
古代魔法の空間転移を使い、リジェネは去ってしまった。
「じゃあ、僕は古代遺跡の探検に出るよ」
「俺もついてく」
ティエリアとニールは一緒に行動することになった。
「どうせ暇なんでしょ。君もきなよ」
放っておけば、職業が失業するまで何もしない刹那も誘う。
職業教会で転職したライルは、地面にのの字をかいていた。
「ほら、ホイミスライムのライル!いくよー。アレルヤも!」
職業教会で、実質無職であるライルは転職したのだが、どこかで聞いたことのあるホイミスライムになってしまった。まぁ、グラフィックはホイミスライムにはなっていなかったが。
ホイミスライムは、アホしかなれないアホの職業として有名だった。
実質、回復魔法を無尽蔵に使えるので重宝される存在であるが、アホの極みと自分でいっているようなものなので、その職につくものは誰もいない。
流石ライル。
みんな感動した。違う意味で。
「どうせ、俺はさ・・・・ホイミ!」
自分に回復魔法を唱えて、ライルは立ち上がる。
だって、仲間においていかれそうになったから。こんなライルだが、立派なパーティーの一員である。
多分。
冒険ギルドに報告したクエストEXPをもらった結果。
刹那LV91かわらず。
ティエリア、転生LV33。1UP。
アレルヤ、LV70、1UP
ニール、LV65、1と23%UP
ライル、LV65、1と27%UP
職業は、ライルがホイミスライムになっただけであとは刹那がダークナイトからホワイトナイトに転職したくらいだ。リジェネはLVが2UP。もういないけど。
彼らの旅は、まだまだ続く。
OOPRGU The End