じっと、ティエリアは皿の上のピーマンを睨みつけていた。
その向かい側で、刹那は牛乳をゴッゴッゴと飲み干していく。
皿にはなぜか追加でししゃもを焼いたものがあった。それにグサグサとフォークを突き刺して、刹那は食べていく。
今日は、ロックオンはアレルヤと一緒に昼食をとっていた。
踏みまくられたアレルヤが泣きやまないので、なだめていたのだ。
「ねぇ、ロックオン。僕、みんなに嫌われてるんじゃないかなぁ?」
「いや、そんなことないぜ?俺はアレルヤのこと大好きだぜ?」
アレルヤの頭を撫でるロックオン。四歳下のアレルヤは、ロックオンにとって実の弟のような存在だ。
「ありがとう・・・・」
「髪、目にかかってじゃまだろ」
ロックオンが、取り出したヘアピンでアレルヤの目にかかる髪をとめてやる。
「オッドアイ、綺麗だよなぁ。金色と銀色。太陽と月みたい」
「恥ずかしいよ、ロックオン」
二人はまるで恋人のように、仲良くおしゃべりをして、アレルヤは頬を赤らめている。
ロックオンにこうやって扱われるのはけっこう好きだった。
ムッ。
ティエリアの機嫌が急降下していく。
ムッスー。
ティエリアは、ジャボテンダーを抱きしめる。
ぎゅって抱きしめてから、立ち上がる。
何をするのかと、見ていた刹那の隣に座るティエリア。
「刹那、髪ヘアピンでとめてあげる」
「え?」
取り出したヘアピンで、かわいく刹那の髪をとめていく。
「じゃあ、俺もやってやる」
刹那は、渡されたヘアピンでティエリアの髪をとめていく。
ヘアピンは綺麗な細工の施されたかわいいものだった。
「僕たち、お揃いだね♪」
ロックオンに見せつけるように、とびきりかわいい笑顔を浮かべるティエリア。刹那も微笑む。
「こら、ティエリア。ピーマンちゃんと食え」
こっちにやってきたロックオンとアレルヤを、ティエリアは睨みつけてから、ジャボテンダーをぶんと振り回して、ロックオンを殴った。
「刹那、いこ!!」
刹那の手をとって、走り出す。
「おい、ティエリア!!」
「一緒に、昼食食べるって約束、してたのに!ロックオンのバカ!!」
「ロックオンのでべそ!!」
刹那は舌をだして、ティエリアと一緒に食堂から走り去っていった。
「参ったなぁ。機嫌損ねちまった」
アレルヤはクスクスと笑う。
「ティエリアかわいいね。こんなことで機嫌悪くなっちゃうんだ。珍しいこともあるもんだね」
「うーん。嫉妬とか、ないのかって思ってたけどちゃんとあるんだなぁ。なんか嬉しいかも」
ロックオンは、嬉しそうだった。
ティエリアは、刹那の部屋でジャボテンダーを抱きしめて膝を抱えていた。
「いいのか?仲直りしたほうがいいんじゃないのか?」
「知らない!」
ムッスー。
ティエリアの機嫌はすこぶる悪かった。
刹那は、ティエリアの額にキスをした。
「刹那?」
「仲直りできるおまじない。昔母さんに教えてもらった」
「・・・・・・・・ありがとう」
ティエリアは、ジャボテンダーを抱いて、コロンと刹那のベッドに寝転がる。
そして、二人で格闘ゲームをはじめた。
今日のティエリアは、ご機嫌ななめ。