ティエリア、やっぱりロックオン大好き







夕食の時間になって、ティエリアは刹那と手を繋いで食堂に向かう。
そこでは、ロックオンが待っていた。

「ごめんな、ティエリア。機嫌直してくれ」

ムッスー。
ティエリアは、ロックオンを無視して、刹那と一緒に夕食をとってしまった。

我慢していたロックオンだったが、ずっと無視するティエリアに珍しく苛立った。
「あ、そ。じゃあ俺は今日はアレルヤの部屋に泊まるわ」
ティエリアに興味を失ったようなロックオンに、ガタンとティエリアが立ち上がる。
ジャボテンダーを、ぶんって空気を割いて投げつける。
それは、ロックオンの頭にヒットした。

「いってえええ!!」
ロックオンが、怒った。
「ティエリア!いい加減にしろ」
ビクリと、ティエリアの体が震える。
「ちゃんと謝っただろう?何が気に食わないんだ!」

ティエリアは石榴の瞳を揺らして。
「うわあああああああああん!!!」
泣き出した。

「あーあ。泣かせちゃった」
アレルヤが、席を立ってティエリアを抱きしめる。
刹那も席を立って、ティエリアの涙をターバンでふいてやる。
「う、ひっく、ひっく、ひっく」
「ティエリア、泣かないで」
「泣くな、ティエリア」

ロックオンは困り果てた。

「どうしたんだよ、ティエリア?」

「・・・・・・・・・・今日は、あなたと始めて出会った日なのに。一年前、約束した。この日はずっと一緒に過ごそうって。ずっと、ずっと覚えてたのに。あなたは忘れてしまったんだ。僕との約束、忘れたんだ」
泣きじゃくるティエリアに、ロックオンがその約束を思い出した。

そして、ティエリアの前にくると膝をついて、ティエリアの頭を撫でて謝る。
「ごめんな。大事な約束、忘れてて。でも、記念のプレゼントは・・・ちゃんと用意してるんだぜ?お前と会った日を忘れるわけねぇだろ。一緒に過ごすってことはすっぽぬけてたけど」
ロックオンは、綺麗にラッピングされたヘアピンを取り出す。
宝石を抱いたそれは、華奢な細工でエメラルドが光っていた。
ロックオンはそれをとりだすと、パチンパチンとティエリアの髪をとめてやった。
「ほらできた、かわいい。俺だけのお姫様。泣き止んでくれ」
ぎゅっと抱きしめられて、キスされて、ティエリアは泣きやんだ。

「・・・・・・覚えてたんだ。やっぱり、僕はどうしようもないくらい・・・他の人が呆れるくらい、あなたのことが大好きだ」
ジャボテンダーを抱きしめ直して、ロックオンの服の袖を掴む。
今日のティエリアはどこかいつもより幼かった。

「じゃあ、僕たちはこれで」
刹那の首根っこを引きずって、アレルヤが退散していく。

ティエリアを抱き上げて、ロックオンは展望台に移動した。
「ほら。よく星が見えるだろう。出会った日の夜も、お前は星を眺めてたなぁ」
ロックオンの腕の中で、ティエリアは天使のように微笑んでいた。