やばい寝言は言うな









最近のルルーシュは、学校を欠席しがちだ。
ちゃんと登校したかと思うと、授業中に寝ている。
その頭脳ゆえか、寝ていても教師に怒られることはないし、成績もTOPを維持し続けている。
しかし、生徒会室でまで寝るのはどうだろう、とシャーリーは思った。

生徒会室のテーブルにつっぷして、ルルーシュは寝ていた。
最近は顔色も悪く、体調も崩しがちで保健室で寝ればいいと進言しても無視されるだけだった。

生徒会のメンバーは面白い人たちばかりだが、そのスキンシップには少しいきすぎた部分があるのかもしれない。
この前は寝ているのルルーシュの顔に、ルルの悪友のリヴァルがラクガキをして、 本人に思いっきり怒られていた。
それにも懲りずにまた生徒会室で寝るとは、ルルーシュもやはり大物だ。


ルルーシュの旧友であるというスザクという少年は、はじめはイレブンだとシャーリー自信も怖がっていたが、優しい 紳士的な態度はルルーシュに比べれれば月となんとやら。

せめて、風邪をひかないようにと、シャーリーは生徒会室の倉庫にあった毛布を日に干し、それをルルーシュにそっと被せた。

「ルルったら、ほんとに世話かかるんだから」

その瞬間だった。

カッと、ルルーシュが両目を見開いたのだ。

アメジスト色の瞳であるはずが、左目だけ赤みを帯びてローズクォーツのように輝いている。

「きゃっ!」

思わず、シャーリーは悲鳴をあげた。

その悲鳴がけっこうな大音量だったもので、生徒会室にいたメンバー全員がその場に集まって何事かと騒ぎだした。

「ルル、寝ぼけてるの!?」

「ルルーシュ、大丈夫かい?」

シャーリーやスザクの声は耳に届いていないのか、しかしオッドアイになった瞳は急速に色を失い、元の紫水晶の色を取り戻していた。

そして、ルルーシュは擦れた声を出しながら、瞳を閉じた。

「そうだ、ブリタニア皇帝は白ブリーフを愛用している。1ヶ月近く同じブリーフをはき続けたことがあるんだ・・・・・!」

パタン。

音もなくテーブルにそうつっぷした後は笑いの渦がルルーシュをとりまいていた。

「何、それ寝言!?ちょっとルル〜〜!!」

シャーリーがゆさぶっても、反応はない。

「ルルーシュ最高!」

会長は元より、スザクでさえ腹を抱えて笑っていた。


それはルルーシュ伝説の一つとなり、以後ルルーシュは生徒会室では決して居眠りはしなくなったという。


ルルーシュは、そんな寝言をいっていたと帰宅前にスザクに言われ、皇子時代に知った事実であるということで、顔色を失ったというらしいが。


いつか、生徒会室にあるはずの少女の優しい笑顔が、ルルーシュのギアスによって永遠に喪失してしまうまで。
バルコニーに干されたままの毛布は、哀しげにひらひらと風に揺れていた。