愛しているって囁く(魔女と魔王シリーズ)








「ナナリー、愛してる愛してる愛してる愛してる」
ナナリーは苦笑する。
「小さなお兄様、そう呪詛のように繰り返さなくても、分かっていますよ」
「それでも愛してる」
ナナリーは、薄い紫の瞳で愛しそうに小さなルルーシュを見つめる。
「私も、小さなお兄様を愛しています」
「愛しているって何回でも繰り返す」
「まぁ、お兄様ったら」
車椅子にしがみつくルルーシュを、C.C.が抱き上げた。
「ルルーシュ、いい加減にしないか、ナナリーが困っているだろう」
「なんだ、C.C.、嫉妬か?」
「あのなぁ」
ため息をつく。
「C.C.も愛してる愛してる愛してる愛してる」
「そんなこと、言われなくても分かってるいる」
「流石C.C.だ」
「全く、ルルーシュめ。誰にでも構わず愛を囁いているのではないだろうな?」
その言葉に、ギクリと小さなルルーシュが固まる。
「いや、俺は決してスザクに小さなユーフェミアにコーネリアにシュナイゼルにギルフォードにたくさんの数え切れない女官にそれに家庭教師にアーサーに、愛しているなんて囁いてないぞ」
ぶんぶんと首をふる。
「このたらしが!」
C.C.が、ルルーシュにデコピンした。
「痛い」
「まぁ、小さなお兄様ったら。そんなにたくさんの方に愛を囁いては、どれが本当の愛なのか分からなくなってしまいますよ?」
「ナナリーとC.C.とスザクと小さなユーフェミアへの愛は本物だ!」
「まぁ、小さなお兄様ったら」
ナナリーが、C.C.の腕から小さなルルーシュの体を預かる。
車椅子の上で抱きしめる。
「お兄様の愛が、真実の愛であることは知っていますよ?」
「ナナリー」
目をきらきら輝かせるルルーシュ。
背伸びして、ナナリーの頬にキスをする。
「流石ナナリーだ」
「私だってちゃんと分かっているぞ」
えっへんとふんぞり返るC.C.に、ナナリーが微笑みを零す。
「C.C.も流石だ」
「伊達にお前の恋人で母親はしていない」
「小さなお兄様。もう一度、愛しているっていってください」
「何度でもいうさ。ナナリー、世界中で一番愛してる」
「ありがとうございます、小さなお兄様。私も、小さなお兄様を世界中で一番愛していますよ」
今日もまた、C.C.とナナリーは、小さなルルーシュと一緒に幸せな日々を過ごすのであった。