アリエス宮殿にチリンチリンと風で鳴る風鈴がいくつもぶら下げられていた。 小さなルルーシュが風鈴が欲しいといいだして、ナナリーが日本から取り寄せたのだ。 チリンチリン。 風に揺れて鳴る音は風雅。涼しさを聞くものに与えてくれる。 だがしかし。 小さなルルーシュの部屋にぶら下げられた風鈴の数は50をこえる。 「ああああああ、チリンチリンうるさい!」 小さなルルーシュは、枕を風鈴に向かって投げた。 愛しいナナリーがしてくれことに文句はそうそういえないが、ものには限度ってものがあるだろう。 いや、実際にはいろんな風鈴があるとナナリーが取り寄せてくれて、それをC.C.がイタズラのように全部小さなルルーシュの部屋にぶら下げたのだ。 ぶら下げるだけでもけっこうな労力がいるだろうに、あの魔女はルルーシュが嫌がることなら好んで、時間もなげうって率先してやるから性質が悪い。 今のルルーシュとC.C.の関係は親子。 血は確かに繋がっている。 ちなみに、ルルーシュは報復とばかりに池で捕まえたカエル10匹をC.C.の部屋に放した。 「小さなお兄様?風鈴がやたらぶら下がっていますが」 入ってきたナナリーが、天井からぶら下がっている風鈴の数に驚く。 「C.C.の仕業だ」 「まぁ。でも綺麗」 「ルルーシュ。ふふふ、こんなもので私を怖がらせたつもりか?」 ビタン! C.C.は生きたカエルをルルーシュに投げる。 それはピョーンと飛んでいった。 「おのれ、魔女め!」 「何を、この魔王が!」 メラメラメラ。 二人の間に火花と炎が散る。 「まぁ、立派なカエルさん。おいしそう」 「!?」 「!?」 小さなルルーシュも、C.C.もナナリーの言葉に愕然とする。 そうだ、ナナリーは幼い頃皇帝の晩餐につきあって、変なメニューを食べていたのだ。 「早速、今日の夕飯のメニューにしましょう。コックに調理を」 「逃げろ、カエル!!」 ジタバタジタバタ。 ナナリーの手の中でカエルは足掻いている。 C.C.は、他のカエルを全て窓から捨てた。 結局、夕飯のメニューにカエルは見事なまでに原形も分からぬ調理されて出されたという。コックの腕が一流であるため、おいしかった。 ルルーシュは、スープになったカエルに心の中でごめんなさいと呟いて、次の日立派な墓をたてたという。 ナナリーって、意外なところでシュール。 カエル食べる皇帝。 ああ。 こんなにも可憐で美しいのに。 皇帝は今日もにこにこ笑ってアリエス宮で執務に励むのだった。 |