花火(魔女と魔王シリーズ)







アリエス宮のバルコニーから、C.C.とルルーシュは夏祭りの花火を見上げていた。
「ナナリーは大変だなぁ。今頃世界各地をまわってるんだろうなぁ」
小さなルルーシュが、花火を見上げながらため息をこぼす。
皇帝即位記念日にあわせた、夏祭りが2週間ブリタニア全土で開催される。
広い領土をもつブリタニア全土をまわったあとは、超合衆国に出向いて、そこの祝いのパーティーへの出席が決まっている。
ナナリーはルルーシュも連れていきたかったようだが、C.C.が拒否した。

もう、ルルーシュには世界の表舞台に立ってほしくない。
何があるか分からない。ルルーシュの遺児として恨みの対象にされ暗殺される可能性だってあるのだ。
だって、小さなルルーシュは父であるルルーシュに本当に瓜二つなのだから。

小さなルルーシュを抱き上げて、C.C.は花火がよく見えるようにしてやった。
「もうそろそろか」
「何がだ?」
「俺の花火があがる」
「はぁ?」
C.C.は間抜けな声をだす。
パァンパァンといろんな花火が空を彩る。
ルルーシュは腕にしていた腕時計を見る。9時ジャスト。
「愛する我が母であり永遠の恋人へ」
ヒュルルルル。
一発の花火が打ち上げられる。

それは、夜空で文字を綺麗に打ち上げた。

(世界で一番愛してる)

「く・・・・ははは、あはははは」
C.C.は腹を抱えて笑った。
「何がおかしい!」
C.C.はルルーシュにデコピンした。
「いやな、お前もバカだなと思って。こんなことせずとも、私は世界で一番お前を愛しているよ、ルルーシュ」
「そんなことくらい、知っている」
二人は唇にキスをする。

「考えることも一緒なんて、嫌になるな」

ヒュルルル〜〜。
一発の花火が打ち上げられる。

(ルルーシュI LOVE YOU)

「これは」
「私の花火だ。お前への」
「こんなことしなくても、お前の愛は俺のものだと知っている」
「本当に・・・・かわいい子供の姿で生意気だな、お前は。昔と変わらない。傲慢で不遜で・・・そして孤高で気高い」

「魔女と魔王は、さて、夏祭りに出かけるか」
「連れて行ってくれるのか?」
ルルーシュの目が耀く。
「本当なら護衛がいるんだがな。国中浮かれている、大丈夫だろう。何かあれば、お前は私が守るさ」
ルルーシュに浴衣を着せ、そしてC.C.も浴衣に着替えて馬車を手配して、町に繰り出す。

「わた飴!わた飴買ってくれ」
「庶民皇子め」
ルルーシュは頭の後ろにかったお面をつけて、わた飴をほうばる。

「金魚すくいだ!C.C.、勝負だ!」
「おう、望むところよ!」
周囲に人だかりができる。
二人は真剣に勝負している。おわんの中には金魚がいっぱい。
「くそ、破れた・・・」
すくい用の紙が破れて、ルルーシュはC.C.への敗北が決定した。
「くやしい」
金魚を3匹ずつもらって、それを手に、ルルーシュは今度は的あてを指差す。
「勝負だ、C.C.!」
「望むところだ」

結果は、チーズ君人形を5つもあてたC.C.の勝ち。
「荷物は・・・・ここに送ってくれ」
屋台の主人に、身分証名称と金を渡す。
「ひえ?皇族さまだったとは・・・失礼しました」
屋台の主人が頭を下げる。
「なぁに、皇族なんていっても平民とかわらぬよ」

「C.C.、肩車しろ」
「お前は・・・・それ」
「ううむ。やはり5歳の子供では視線がな」

二人は心行くまで夏祭りを楽しむのだった。