ルルーシュが6歳の誕生日を迎えた日、いろんなプレゼントをもらった。 その時はどうでもいいと、適当な愛想笑いを振りまいていたのだが。子供用のおもちゃとか服とかお菓子とかが大半で、自分の好みにあったものはなかった。 なので、プレゼントの全部をみることもなく終わった。 宮廷に使える家臣や女官から一般の民までいろんな人からプレゼントをもらった。 ナナリー皇帝が寵愛する皇族ということで、超大国の懐かしいメンバーからも最新のゲーム機やらそんなものをもらった。 庭をふと歩いていると、蒼みがかった薔薇が咲いているのを見つけた。 こんなの、いつ植えたんだろうと思いつつ、ルルーシュははさみをもってくると数本薔薇を切った。 カスミ草を混ぜて、綺麗にして・・・・でも包んでいるのは新聞紙。 女官に頼めば、もっと綺麗にしてくれるのだろうけど、自分の力でなんとかしたかった。 魔女の誕生日。 プレゼントなんて、考え付かない。 ゼロであり、資金に困らなかった頃、昔は宝石なんかを贈った。魔女は喜ぶどころか呆れていた。 C.C.が喜ぶものはなんだろう。 考え抜いたあげくが、こんな花束。 ついでに、用意していたピザの無料券つき。チーズ君人形も用意した。 こんなものでいいだろうか。 小さなルルーシュは、自分なりに考えた。 「いた」 薔薇の棘がささって、手が傷だらけになったが気にしない。 新聞紙はあんまりなので、自分のお気に入りの服を鋏でみって布にしてそれで花束をくるむ。 蒼が強い薔薇は、完全な蒼ではない。 今でも蒼い薔薇は誕生しない。 人は蒼い薔薇を誕生させることを夢見る。この薔薇は蒼みがかった紫。 それでも昔に比べれば大分蒼の色がでてきた。 昼食の席で、一向に帰ってこないルルーシュを呼びに、C.C.がやってきた。 「おい、ルルーシュいい加減に」 そこで、言葉が止まった。 ルルーシュが、待っていたかのようにC.C.の目の前に蒼紫の薔薇の花束をつきだした。 「なんのまねだ。また何かの遊びか?」 「忘れたのか。今日はお前の誕生日だ」 その言葉に、C.C.ははじめて今日が自分がこの世界に産声をあげた日なのだと気づいた。 祝ってももらうことなんて何十年もなかった。マリアンヌが、誕生日のときにお菓子を焼いてくれたりしたくらい。その数年もすぐに消えてしまった。C.C.にとって、誕生日は魔女として生きる呪われた日のはじまり。でも、ルルーシュにとっては愛しい人が生まれてきてくれたステキな日。 「ピザの半年無料券。あとこれ、チーズ君人形、お前が欲しがってたやつネットオークションで落とした。どうした?」 C.C.は泣いていた。 「おい、どこか具合でも悪いのか?」 「ばかだなぁ、お前は。こんなに手を傷だらけにして・・・この蒼紫の薔薇はお前が誕生日にもらったものだろう。庭師にいって庭に植えさせた。大切だろうに、こんなに切って」 「そんなの。別に、薔薇なんていくらでもまた咲くだろう。包装が汚いけど・・・新聞紙よりましだろう」 「これは、お前のお気に入りの服の布じゃないか。女官に言えば綺麗に包装してくれるだろうに」 「自分じゃないと意味がない!」 「本当に・・・・お前は、ばかだ。ばかで・・・大好きだ」 C.C.は傷だらけのルルーシュの手にキスをして抱き上げると、額にキスをした。 「ありがとう」 その言葉で、ルルーシュは満たされる。 ああ、世界に君が生まれてきてくれてありがとう。 「愛してる」 「私もだ」 いつかまたこの愛が消える日がくるかもしれないけれど。 その時は、この魔女はどうするのだろう。 世界に、君が在ることに感謝を。 神にではなく、君自身に。 |