「ルルーシュ。眠れないのか」 「ああ、少しな。昼に寝すぎた」 ルルーシュは眼鏡をかけてパソコンをいじっていた。株をやっているんだろう。それで二人は生計を立てている。働くこともせずに毎日ぶらぶらしている若い二人を不審に思うものはいない。 十代の少年少女で時を止めてしまった二人を、周囲の家の者は親の仕送りで養ってもらっているんだろうと考えていた。 まだ高校生くらいの年齢の二人。 二人はそこで時間を永遠に止めてしまった。 季節が移り変わっても、同じ姿のまま季節だけが移ろい変わりゆく。 「ココアでも飲むか?」 珍しくC.C.がココアを入れてくれた。 昔はよくナナリーが寝付けないときに入れてあげたものだ。一緒に飲んで、そしておやすみのキスをして眠った。 「懐かしいな。貰う」 ココアを一口飲む。 甘さと暖かさがじんわりと体中に広がる。その心地よさにルルーシュは目を閉じて、パコソンのデータを保存すると電源をきった。 「ルルーシュ?」 「C.C.、寝るぞ」 「眠くないのではなかったのか?」 「今なら寝れそうな気がする」 C.C.をベッドに押し倒して、ルルーシュはベッドに転がった。 本当に、色気も何もありゃしない。 二人は唇を重ねる。 C.C.の舌にほんのりとした甘さが混じった。 「お前は、変わらないな。このままのルルーシュでいてくれ」 「仰せのままに。俺だけの魔女」 C.C.を柔らかく抱きとめて、ルルーシュは毛布を被った。 お兄様。ナナリーが天国で微笑んでいる気がした。 ナナリー。 俺は、寂しいけど、でも幸せだよ。 多分、な。 魔女が隣にいてくれるから。 それは良かったです、お兄様。 ナナリーは薄い紫の瞳を和ませていつまでもルルーシュに語りかけているような夢を見た。 さぁ、明日になったら何をしようか。 また、移ろいゆく季節でも眺めようか。 C.C.と一緒に。 |