風のように不安定にゆらゆらと二人は生きる。 まるで陽炎か、街灯の灯された光のようにゆらゆらと。炎のようき姿をかえては再生しまたゆらめく。 何百ぶりになるだろうか――。 ルルーシュはコードが刻まれてもなお、コードギアスの能力が使える。 アリエス宮殿にC.C.と一緒にやってくると、皇族用の馬に乗り込んで花畑から森一直線に駆け抜ける。 「負けないぞ!」 「俺だって乗馬クラブに入ってたんだ」 「ほー。軟弱者のお前がか!」 少し驚いたようにC.C.が馬に鞭をいれた。 加速する早さ。 追い抜かれた。 このアリエス宮殿に広がる花畑と森は、亡きマリアンヌとの大切な思い出の欠片。 ルルーシュにとっても、ナナリーと母とで過ごした幼い頃の大切な場所。 馬の世話をしていた者に、勝手にギアスをかけて馬を拝借した二人。 元の場所に戻す気はあるのかどうか分からない。 「お前のほうの馬が速い。なら、おれがとる選択肢はこれだ」 後ろをふりかえったC.C.の前に黒が広がる。残光のようにアメジストの光が零れたかと思うと馬が嘶いた。 突然もう一人の人間に乗られて興奮している。 「ハイ、ドウ、ハイ、セイ!」 馬のたずなをとって落ち着かせると、ぶわりとC.C.の太陽の色の瞳に涙が広がった。 「どうした?」 「行動までマリアンヌと同じなんだから、悲しいよ。マリアンヌの側にいきたい」 「今は俺がいるだろう?」 「ああ、そうだな。いこう」 二人で馬に乗り、その白馬の馬で森を走り続ける。 そう、まるで風のように。 |