バースディ







12月20日は、日番谷の誕生日だった。

「誕生日おめでとう、シロちゃん」

雛森から誕生日プレゼントを渡されて、日番谷は嬉しそうだった。

「寒くなってきたから。マフラー・・・・手編みじゃないけど」

「こまけーことは気にすんな」

そうだそうだと、松本が酒を飲みながら、二人に絡んでくる。

「隊長、今年も誕生日おめでとうございます〜。あたしからのプレゼントは〜肩たたき券!」

「もっとましなもの用意できないのか」

「それが、今月飲み過ぎてピンチで・・・・・あはははははは」

日番谷の誕生日を、10番隊のみんなで祝っていた。だが、呼んでもいない面子もいた。

浮竹と京楽だ。

「日番谷隊長、誕生日おめでとう」

クリスマスも近いのでと、サンタクロースの恰好をした浮竹は、日番谷にお菓子セットを渡した。

「まだあるぞ」

赤い靴下の入れ物に、お菓子がいっぱいつまっていた。それを渡されて、日番谷はなんともいえない気分になった。

「子供あつかいするんじゃねぇ」

「まぁまぁ。同じシロちゃんだしいいじゃないか」

「こんなに食えるか」

「底の方には、甘納豆をいれておいたぞ」

「それを早く言え。それよりその恰好はなんだ」

「サンタクロースだ。知らないのか?現世の・・・・」

「サンタクロースくらい知ってる!」

だから、何故浮竹がサンタクロースの恰好をしているのかと、問い詰めると、浮竹は京楽を指さした。

「京楽がトナカイだからだ」

「は?」

京楽は、トナカイの恰好をしていた。

「ああ、日番谷隊長気にしいでくれないか。僕がトナカイの恰好すれは、浮竹がサンタクロースの恰好をしてくれるというから、こんな格好してるだけだから」

浮竹に着せたサンタクロースの服は、ちょっとひらひらしていた。

「京楽おまえ・・・・・」

頭を抱えこむ。

浮竹のかわいいサンタクロースの恰好に、女性死神が黄色い声をあげていた。

「浮竹隊長かわいい〜」



松本が、浮竹に酒をもって絡んできた。

「お酒のみますぅ〜?」

「ああ、もらおうか」

浮竹は、松本から杯を受け取ると酒を飲んだ。

「浮竹隊長、いい飲みっぷりですね!京楽隊長も飲みます?」

「いや、僕はいいよ」

「珍しい。京楽隊長がお酒飲まないなんて・・・・・・」

10番隊隊舎では、無礼講でみんなが酒を飲んだりして日番谷の誕生日を祝った。

「さてと」

時刻は、まもなく0時だ。

京楽は、トナカイ姿のまま、酔いつぶれている死神たちを踏んづけたりしながら、日番谷に声をかける。

「明日は、浮竹の誕生日だから・・・・・・日番谷隊長、祝ってやってほしい。明日の夜に、13番隊隊舎でパーティするらしいから」

「ああ、そうえば浮竹の誕生日は12月21日・・・・・・・俺と、一日違いか」

「そうなんだよ。プレゼントとかなくてもいいから、顔だけでも出してやってくれないか。きっと浮竹が喜ぶ」

「一応、プレゼントに酒を用意してある」

「じゃあ、また明日の夜にでも」

「ああ」

松本につられて、しこたま酒を飲んだ浮竹は、サンタクロース姿のまま眠ってしまっていた。

その体を抱き上げて、雨乾堂に戻る。

「おーい、浮竹」

揺さぶると、翡翠色の瞳がわずかにあいた。

「んー。もう飲めない・・・・・・・・・」

「0時だよ。誕生日、おめでとう」

京楽は、浮竹を抱きしめた。

「君が生まれてきたことに、最大の感謝を」

「京楽?」

「ん?」

「京楽も、生まれてきてくれてありがとう」

浮竹は、京楽を押し倒した。

「もしかして、酔っぱらってる?」

「酔っぱらってない」

浮竹は、京楽のトナカイの衣装を脱がせていく。日に焼けたその首筋に、キスマークを落とした。

「浮竹・・・・・・・」

零れ落ちる白い髪を、指で梳いてやると、浮竹は満足そうに微笑んだ。

トナカイの衣装を脱がされるのと一緒に、浮竹のサンタクロースの衣装を脱がしていく。似合っていたのにと思いながらも情欲のまま流れに任せた。

「ん・・・・・・」

浮竹は、自分から京楽に深く口づけた。

またキスマークを京楽の首に刻む。

「僕は、押し倒されるより押し倒すほうが好きなんだよね」

京楽と浮竹の位置が入れ替わる。

「あっ・・・・痕は、残すな・・・・・」

首筋にを吸い上げられて、浮竹は完全に覚醒したようだった。

毎年、浮竹の誕生日の0時になると、二人は交わる。今日も、それは変わらない。

いつ見ても見飽きることのない、細い浮竹の裸身が、白く輝いていた。

「あっ」

触れるだけのキスをされる。それから、全体の輪郭を確かめるように京楽の手が動いた。

肩甲骨から背骨のラインが綺麗で、唇を這わせていく。

浮竹の背中に、京楽はキスマークを残した。

見えない場所なら、痕を残しても浮竹は怒らない。

胸の先端の片方を舌で転がして、もう片方に爪をたてると、浮竹は京楽の髪をかき抱いた。

「も、いいから・・・・・・・早く、こい」

潤滑油を指にかけて、京楽は指で浮竹の中に侵入する。

「んっ」

いつ感じても、違和感は否めない。

蕾をほぐしていく動きに、浮竹は夢中になった。前立腺を刺激する動きに、浮竹は翻弄される。

「あ、あ・・・・・・」

ぐちゃぐちゃにかき回されて、蕾からは水音がした。

「もういいかい?」

浮竹にキスの雨を降らせて聞くと、彼はこくりと頷いた。

「いいから、早くこい・・・・・俺の中で、果てろ」

ごくりと、京楽はつばを飲み込んだ。

「ああっ」

突き上げると、浮竹の白い髪が畳の上に零れ落ちた。

「あ、あ・・・・・・・・」

何度も前立腺をすりあげていく。硬くなった浮竹の花茎に手をそえてしごくと、中がきゅっとしまった。

「十四郎・・・・・・・・」

「ああっ」

最奥を突き上げると、浮竹の体がずりあがる。

「やあっ・・・・・・」

「君から、求めたんだよ?」

逃げようとする体を制して、浮竹の細い足を肩にかつぐと、深く挿入した。

「やめっ・・・・・」

「やめない。君が、いやっていっても、やめない。今日は、特別な日だしね」

「っ・・・・・・・」

ぐりゃりと、中をかき乱す。

浮竹の弱い部分ばかりを突き上げると、彼は京楽より先に果てた。

「あ、あ、いったから、もう・・・・・やぁっ」

「僕はまだだよ・・・・・」

「春水っ」

頭が真っ白になって、何も考えられなくなっていく。

ただ、夢中に春水と名前を呼んだ。

「春水・・・・・も、むりっ」

京楽は、浮竹を追い上げていく。

何度も中を侵すと、浮竹は啼くばかりだ。結合部は、お互いの体液でぐちゃぐちゃになっていた。

「ああっ!」

強く最奥を突き上げると、浮竹は京楽の背中に爪をたてる。

京楽は、浮竹の最奥に欲望を放って、浮竹に深く口づけした。

舌をからめあい、歯茎の列をなめると、浮竹の体が震えた。

ずくりと、内部を侵す熱が、まだ硬かった。

「やぁ、もうやぁっ」

また中を侵すと、浮竹は涙を零しながら懇願する。

「無理だから・・・・・おかしくなるっ・・・・・」

でも、京楽は刻む律動を止めない。

「今日は特別な日だから・・・・いっぱい、愛させて?」

「春水っ」

オーガズムで、何度か浮竹が達する。

京楽は、ひとしきり浮竹を侵すと、また性を中に放って満足した。

「浮竹?」

「ん・・・・・・・・」

意識はあるようだった。

「ごめん、ちょっと無理させちゃったね」

「んー・・・・春水のえろじじい」

「ははは。愛してるよ、十四郎」

その後、軽く湯あみをしてお互を清めあう。2時もすぎた頃になると、浮竹はうとうとと眠りだした。

体を重ねるのは、浮竹にとっては大きな負担になる。ただでさえ、体が弱いのだ。無理をさせていると分かっていても、京楽は浮竹を交わることをやめれない。それは、浮竹とて同じことだった。



「もう、昼か・・・・浮竹?」

腕の中の浮竹は、まだ寝ていた。

「ちょっと、無理させっちゃったかな」

額に手を当てると、微熱があった。

「ごめんね、浮竹・・・・・・・」

ちゅっと、音をたてて頬にキスをした。京楽は13番隊隊舎にいた清音を呼ぶと、昼飯の用意と、解熱剤をもってくるように頼んだ。

京楽が戻ってくると、浮竹は起きていた。

「腰が痛い・・・・・・」

少し不機嫌そうだ。

「ごめん、夢中で君を貪ったから・・・・それに、久しぶりだったし」

その言葉に、浮竹は翡翠の瞳を瞬かせた。

「昼食頼んだけど、食べるでしょ?」

「ああ・・・・・・・・」

京楽は、かわいい恋人のご機嫌をとるのに必死になるのだった。



「浮竹隊長、お誕生日おめでとうございます」

「ありがとう、清音」

「隊長、おめでとうございます」

「仙太郎も、ありがとう」

その日の夜、浮竹のバースディパーティが開かれた。

甘いものが好きな浮竹のために、いろんなスイーツが取り寄せられた。酒も、果実酒を用意してある。

「浮竹、おめでとう」

「日番谷隊長、来てくれたのか!」

「京楽にも言われたからな。ほら、プレゼント」

「おお、酒か。ありがとう!」

浮竹は、日番谷を気に入っている。その日番谷がプレゼントにくれたお酒は、梅酒だった。

いつだったか、養命酒を渡されたことがあるが、今回は普通の酒である。

浮竹は、その優しさと包容力から、他の隊の死神にも人気が高い。13番隊隊舎では、違う隊の
席官や死神の姿が見られた。

「浮竹、誕生日おめでとう」

「京楽も、ありがとう」

京楽が浮竹に用意したプレゼントは、絹で織られた夜着だった。

「また、高そうなものを・・・・・・・」

「これでも、遠慮したんだよ。本当は、僕の別邸をあげようかと思ったんだけど」

「いや、いらないからそんなもの・・・・・・・・」

京楽は、上流貴族なだけあって、高いものを選んでくる。酒の時は多いが、今回は服だった。

浮竹は、みんなに誕生日を祝われて、嬉しそうだった。

「また、来年も祝おうね」

「ああ。でもその前に、今度はお前の誕生日を祝わなければな。大分先だが・・・・・・」

京楽の誕生日は、7月だ。

「誕生日プレゼントは、君でいいよ」

「勘弁してくれ・・・・」

解熱剤のおかげで微熱は去ったが、貪られるように交わるのはきついものがある。

京楽の誕生日には、何をあげようかと、まだまだ先のことなのに、思案する浮竹であった。