七夕の短冊







七夕の夜。
黒崎家では、笹がベタンダに飾られていた。
一護の願いは簡単。「平和欲しい」
死神代行として忙しい毎日を過ごす一護にとっては、平和が何よりも大切なものだろう。
二人の妹の願いは現実的。
「小遣いほしい」「もっとサッカー上手くなりたい」
父親の願いは明るい。
「家族皆で健やかに過ごせませすように」
ちなみに、コンの願いは「姉さんともっとラブラブしたい」

ついでに、ルキアの願いとはいうと。

「もっと胸が欲しい」

それを見つけた一護は笑いをこらえるのに必死だった。やっぱり気にしてたんだ、ルキアは。
そりゃ、死神だけでなく、学校のクラスメイトもまわりみんな巨乳だらけだしなぁ。
特に、織姫と乱菊の胸は凄い。
あれは凄い。グラビアアイドルにだって負けない。

「こーんな願いかかなくったってなぁ」
ルキアの胸がでかくなることなんて、まずありえないだろう。
死神として何百年ももう生きているのだ。体の成長はとても極端にゆっくりだ。
いつか、胸が大きくなる日がくるかもしれないが、それは何百年後のことだろう。

一護はアイスをとりだすと、だれているルキアの頬にあてた。
「ひああああ、冷たい!」
「アイス。ほら食えよ」
「何を考えておる!何かよからぬことを考えておるな!?さては、私のアイスを食ったか」
「バーカ。そんな意地汚いまねするかよ」
一護は、自分用においてあったアイスをルキアにあげた。

暑さにだれながら、ルキアはそれを食べていく。

「なー。笹、もう少し飾っておくか」
「おう、それはよい考えだ」
キラーンとルキアの目が光る。

次の日、笹を見ると願いごとがいっぱい増えていた。
「金が欲しい」「服はあれがいい」「一護をもっとこき使いたい」「宿題減らしてほしい」「藍染は死ね」「兄様がずっと元気でありますように」

「あー。やっぱ捨てちまうか」
一護は、笹を捨てた。

「ほう。兄は、そのような行為をするのか。ルキアの願いがたくさんこめられた短冊を」
悪寒を感じて振り返ると、そこには白夜が立っていた。
「なぁ!?白哉、なんで現世にいやがる!」
「ルキアが携帯電話で呼び出してきたので、いるまでよ」

「あ、兄様!アイス食べましょう!」
「ルキア、元気にしおるか」
「兄様も!」
二人の兄妹はるんるんとはしゃぎあう。無表情ながら、白哉の喜びようが手にとるように分かった。

「あー」
一護は、捨てようとした笹に新しい短冊を飾った。
「白哉に切り殺されませんように」

「ほう。兄は、そのような行為をルキアに働いたのか。さっそく」
抜刀した白哉に追い掛け回されて、死神になった一護は、ルキアが見守るなか町内を一周していた。
「兄様、一護と仲いいなぁ」
片方は本気で、ばんかいさえしそうな勢いで一護を追い掛け回しているのだが。ルキアには、ただ兄様に遊んでもらえていいなという、羨ましさしかなかった。