「隊長、なんで執務室半壊してるんですか?」 現世から帰ってきた松本が驚いていた。 いつもなら、お気に入りの長椅子に寝そべって、仕事をさぼって昼間から酒を飲むのだが。それさえできそうもない、執務室の様子に松本は少しご立腹だった。 「ええ、京楽隊長と浮竹隊長が?その程度のことで、斬魄刀を始解させたんですか?」 「その程度じゃねぇ」 日番谷は怒っていたが、京楽が10番隊の執務室を豪華に建てなおすというので、かろうじで我慢していた。 しばらくは隊首室で仕事をする羽目になりそうだ。 日番谷は、自宅をもっているので、隊首室で寝起きすることがなかったが。 「あのおっさんども、覚えてろよ」 執務室は、すぐに直された。 いくらなんでも、京楽にはそこまでの人材はない。直したのは、朽木白哉だった。 「なんで朽木が・・・・」 「兄には関係のないことだ」 京楽が金を払うということで頼まれたのだ。京楽だけなら動かなかったが、最近わかめ大使を尸魂界に広めてくれている浮竹の頼みでもあったので、対処した。 浮竹は、京楽と日番谷の次に、白哉が好きだった。 日番谷は、白哉から渡された大量のわかめ大使をどうすればいいのかと考えていた。 「聞いてくれ、日番谷隊長・・・・・」 「くるな!」 また現れた、浮竹に日番谷はできることならバリアをはりたかった。 「入ってくるな近づくな何も言うな」 「?」 浮竹は、日番谷のそんな言葉を無視して、執務室に入ってくる。 「お茶どうぞ」 「ああ、ありがとう松本副隊長」 「京楽が、無理強いしてくるんだ。2回までならいいと言ったのに、3回目まで」 ぴくぴく。 ちょっと腐女子である松本の耳が反応する。 日番谷は、そんなの話を聞きたくなくて、耳を塞いでいた。 「日番谷隊長?」 小首を傾げて、のぞきこんでくる浮竹がかわいく見えて、日番谷は自分の目が腐ってしまったのだと思った。 「それ以上近づくな」 こんなおっさんに、少しばかりときめいて、日番谷は自分を呪った。 そして、どうして京楽がここまで浮竹を独り占めするのかが分かった。 天然なのだ。儚く身目麗しい容姿をしていることを分かっていない。おまけに無防備だ。 邪(よこしま)な想いを抱く死神には、毒というものだろう。 「日番谷隊長、浮竹がこなかったかい・・・・・って、やっぱりいた」 京楽がやってくる。 ああ、またか。 またこのパターンか。 「京楽!お前、少しは反省したんだろうな!」 「2回も3回も同じじゃない。そんなことで怒らないでよ」 「いいや、全然違う。お前はいいかもしれないが、受け身のこちらの都合にもなってみろ!」 「十四郎・・・・愛しているよ」 浮竹を腕に抱きこんで、キスをする。 日番谷と松本がいることなんて、お構いなしだ。 「まて、ここでは・・・・やぁっ」 「蒼天に座せ氷輪丸!」 日番谷は思った。 もう、どうでもいいい、と。 |