「夜流?」 ボロボロ涙を零すあきらを、背後から抱き締めたのは、ずっとあきらの自宅の前で、あきらを待っていた夜流だった。 「なんで・・・・なんで、いるの?」 「メールや携帯じゃ、じかに気持ちなんて伝わらないだろ」 「おれ、おれ・・・ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!!」 がばっと抱きついてくるあきらの背中をさすってやる。 随分長い間泣いていたのだろう。 目が真っ赤だった。 「家入れる?」 「うん・・・・」 あきらから、鍵を受け取って、もう慣れてしまった夏樹家の自宅に足を踏み入れる。 そのまま玄関で、夜流はあきらにキスをした。 「ん・・・」 「仲直りの、キスな?」 「うん・・・・・」 「今日、瑞希さん確か法事でいないんだよな?」 「うん・・・泊まってく?」 泣きはらした目で、あきらが夜流を見上げる。 身長差、約16センチ。 夜流の身長は176と、高校1年にしては高いほうだ。あきらの身長は160センチのまま、成長していない。 何度もあきらは保健室で自分の身長を測るけど、背が伸びていることはなかった。 「いいな・・・」 「何が?」 「夜流、背が高くて。俺も、それくらいほしい」 「それは困る」 「なんで?」 「お前に・・・・こうして、キスできないから」 あきらの目の前に、大好きな夜流の、まだ少年だけど男性らしく整ったかっこいいと断言できる顔がそこにあった。 あきらは、泣きはらしていた目を閉じる。 唇と唇が重なる。 触れるだけの、優しい優しいキス。 そのまま、夜流はあきらの頭を抱きこんで、玄関にずるずるとしゃがみこむ。 「夜流?」 「小百合っていったっけか。あの女、ぶってやろうかと思った」 ゾクリとした。 夜流の目は、本気だった。 「俺のあきらに、手出しやがって」 夜流って、こんなに独占欲あったっけ? あきらが脳裏でそんなことを考えているうちに、夜流は自分の携帯をあきらに見せる。 そして、メールの着信欄を開くと、月菜のメルアドを着信拒否にした。 「いらないから、消す」 「夜流・・・・んっ、んっ、んー」 夜流の金髪がふわりと広がったかと思うと、あきらは玄関で激しいキスを受ける。 「んっ」 何度も舌が絡み合う。 お互いの唾液を飲み込んで、それでも足りないとばかりに唇を重ねる。 「瑞希さん、法事で助かった・・・・」 「んっ・・・あ、あっ」 すでに、サマーセーターを脱がされてしまった。 キャミソールをそのまま上に引き上げられ、肩甲骨に唇を這わせて、噛みつく。 「あきらの部屋、いこうか」 「んうっ」 抱き上げて、また少し乱暴に唇を奪う。 いつもはもっと優しいのに。 夜流、怒ってるのかな。 キャミソールにふわふわのスカート姿のままのあきらを抱き上げて、階段をあがっていく夜流。 途中で、何度もキスをされた。 優しい啄むようなキスから、溶けるようなディープキスまで、何度も何度も。 スカートから露出した太ももを撫でられたりして、背筋がぞくぞくした。 これから、夜流に、抱かれるんだ。 いつもみたいに、きっと意識がなくなるまでめちゃめちゃに犯される。 二人は、呼吸する。 酸素が足りない。荒い呼吸がまじる。 でも、どこか甘い。 禁断の果実のように甘くて甘くて。 食べたら最後、堕ちるんだ。 エデンを追放されたアダムとイヴのように。 このまま、堕ちたっていい・・・・・。 あきらは、そう思いながら、夜流の背中にしがみつくのだった。 NEXT |