真国の正妃 終幕







「あ・・・・真那・・・・」
「星嵐」
二人はもつれ合うように寝台で体を絡めあう。

「んっ」
星嵐の秘所に指を差し入れると、濡れた音がした。
そのまま顔をずらして、花弁の中に舌をぐりっと差し入れると、ビクンと星嵐の体が強張る。
ピチャリという水音と一緒に、頭が真っ白になる感覚をゆっくり与えられた。
「もっと・・・きてっ」

淫らに、けれど可憐に。
美しい月の姫は、真那を捕らえて離さない。そのまま真那は星嵐の中に突き入れる。
「ああっ」
衝撃で僅かにずり上がる体を押さえて、更に中を犯していく。
「あ、あ、あ!!」
「熱い。星嵐は?」
「僕も、熱い、熱くて、何も・・・ン・・・考えられなく・・・・うあっ」
真那を締め付ける柔らかい肉は、星嵐のように優しさを持っている。そのまま何度も突き上げて、星嵐の体を揺さぶると、星嵐は哀しみでも痛みからでもない涙を零した。

不思議だ。

体を繋げることで、幸福感を見出せるなんて。

「んっ・・・・・平気、もっとおくまできて」
足を大きく開く星嵐の言葉通り、最奥の子宮の入り口まで突き入れると同時に、陰茎を手で扱ってやった。
「あ、いやあああ、それはいやあああ!!」
同時に責められると、頭がおかしくなりそうな快感に支配される。
「全部、私のものだ、星嵐。誰にも渡さない。私だけの正妃だ」
「あ、あ、ああああーーー!!」

シーツを蹴る星嵐の動きが緩慢になっていく。
そのまま、中で弾けた真那の体液を受け止めて、星嵐は唇をなめた。

「もっと、頂戴・・・・」
扇情的な表情と台詞に、真那の欲望がまた湧いてくる。星嵐の全てを手に入れることができたなら。
また、星嵐の秘所を犯す。
でも、決して暴力的ではない。激しくはあるが、あくまで優しさがこもっている。そう、愛という名の。
今までもそうして抱いてきたつもりではあったが、こうして愛を告白した後はまた格別だと思う。この行為さえ、何か神聖的なものに思えてくる。とても原始的な行為なのに。

その日、真那は夜が明けるまで、星嵐を抱き続けた。
湯浴みの中、浴槽でも星嵐を抱き、これでもかというほと愛し続けた。

「も、だめ・・・・・」
湯からあがった星嵐は体を火照らせて、これ以上は無理だと拒んだ。無理強いはしたくなかったので、真那もそこでやめた。
あとは、ただ口付けあったり、髪をすいたり、頭をなでたりと、行為のだるさに参っている星嵐をあやすように優しく接してから、一緒に眠った。

星嵐と一緒に眠って起きた頃は夕暮れ時になっていた。
真那は早速、星嵐を正妃にすることを決めた。喜んだ家臣は半分で、両性具有で果たしてまた子がなせるのかという言葉を無視して、他の寵姫たちは元の国に返す強攻策にでた。

「陛下、もしも星嵐陛下が子をなさなかったときはどうするのです!妃は正妃のみなど、なんという!!」
「そのときは養子でももうける。心配などいらぬ」
「陛下ーーー!!!」
他の家臣たちががっくりと下がっていく中、大臣を見つけて声をかける。

「私は、見つけたのだよ、露松蔭(ロ・ショウイン)」
大臣の松蔭に、真那は嬉しそうに報告する。
「蒼い、薔薇をな」
「は?蒼い薔薇なぞこの世界にはありませぬぞ」
「では、陽緋の薔薇だ」
「はあああ?太陽の女神の薔薇でありますか?」
「そうだ。月の薔薇でもあるな」
「はああああ?」
首を傾げる大臣を放り出して、執務に取り掛かる真那は楽しげであった。

「真那〜。構って〜〜」
星嵐が、かわいくポニーテールに髪を結い上げて、宮殿の執務室に入ってくる。
「星嵐、かわいいな。どうしたんだ、誰に結ってもらった!」
「松蔭さんに!」
「ぬ!お前、そんな特技があったのか!」
「だ、だって星嵐陛下かわいいんだもん!!!」
露松蔭、齢今年で82。実はロリコンではないのかという噂はあっという間に広まった。

星嵐は、構ってくれといいながら、真那の執務を邪魔するわけでもなくただ側で小説を読んでいた。真那は早く星嵐と二人きりの時間を作りたくて、執務を手早く正確に終わらせるようになった。

樹を滅ぼした天嵐のように、他の国を乱した両性具有のようにはならない。それが星嵐の決めたこと。愛するひとに愛されるためだからといって、欲を出さぬこと。

正妃はこうして誕生した。
名を真星嵐(シン・セイラン)と改めた星嵐は、長きに渡って太陽王とまで歌われるようになった真那王を影から補佐し続けたという。


END