星の欠片







展望台で、ティエリアはぼーっとしていた。
「ティエリア?大丈夫か?」
刹那は心配になって、ティエリアの額に手をあてるが、熱はないようだった。
最近働きすぎな気がする。過労で倒れたりしないかと心配でしょうがない。
「なんでもない・・・・ちょっと・・・・彼の顔を見ているのが辛いだけだ」
ティエリアのいう彼とは、新しくロックオン・ストラトスの名を継いだニールの双子の弟ライルのことだ。
容姿も声も同じなのに、性格は180度回転したように違う。
からかい癖が強くて、雲の上を歩いているような性格をしている。
ニールは、もっとしっかりと芯を持っていた。

「彼は、あの人じゃない」
「ティエリア」
「分かってるんだ。でも、彼の姿を見るとそこにあの人を探す自分がいて・・・・それが惨めで仕方ない」
「自分を責めるな」
ティエリアを抱き寄せる。
刹那は、本当に成長した。

「側に、いてくれ。君が、僕の側に」
「いるから。だから、泣くな」
ティエリアは泣いてはいない。でも、心の傷がいつも涙を流していた。

「おや、かわいい教官殿に刹那・・・・・」
ライルは、二人を見かけ、声をかけようとしたが、怪しい雰囲気を感じ取って隠れた。
「かわいい教官殿は・・・・兄さんの恋人だった。女性よりの、中性ね・・・・」
その中性的な美貌は、女性にしか興味のないライルでさえ動かされるものがあった。
女性よりの中性とはどういうものかと聞いたとき、刹那は未発達の少女のようなものだと答えた。
とすると、かわいい教官殿は分類すると女性になるのだろうか?
女性ならなんとか口説き落としたいところだが、性格がきつい上に人格は男性を基本としているようで、それが完全な女性ではないとティエリアの存在をライルに知らしめているようだった。
「年上ならミス・スメラギ・・・年下なら・・・・あー、別に女なんていらないだろ、俺。しっかりしろよ。いくら美人でも、あれは兄さんの恋人だったんだぞ」

星の欠片が展望台から見ることが出来た。

二人は何かを話しているようだった。
それから、ライルが見ているのも知らずキスをしていた。
「あの二人、できてんのか?」
ティエリアは刹那を求める。求められるままに、親友から更に上へ昇ってしまうことを知っていながら、ティエリアに口付ける。
ティエリアは抵抗しない。舌を絡ませると、少しだけ震えた。
「あ・・・・・」
「怖いか?」
「怖くはない。ただ」
「彼に、すまないと?」
「そう。でも・・・・もういなくなって四年だ。もう、一人は嫌だ」
刹那の腕の中に落ちるティエリア。

星の欠片は、ライルを巻き込んでティエリアを中心に三ツ星を形どる。
「兄さんの恋人でも・・・・」
ライルは、高鳴る胸を押さえて去っていくのだった。

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刹ティエにライティエですか。