私立ガンダム学園X@







「あー。また順位下がった」
期末テストの結果が貼り出されていた。
ライルは、自分の順位をみてがっくりとする。
2年全員で300人弱。ライルの順位は87番。悪くはない。良いほうだろう。でも、どうしても理数系が苦手なせいで、英語や国語、世界史などの科目は90点をいつもとるが、特に科学が酷い。いつも赤点ぎりぎりだ。
数学も似たようなかんじ。
「ライルにしてはがんばったじゃないか」
兄のニールが、自分の順位を見る。
ニールの順位は46番。ライルよりいつもいい成績をとるこの兄は、ライルにとっては一つのプレッシャーでもある。双子で見比べられること、ライルは一番嫌う。
ティエリアとリジェネは、学力テストで全国で3番と4番をとったつわもの。無論期末テストも二人並んで1位だ。
「ティエリアとリジェネは相変わらずすごいな」
「当たり前でしょ。温すぎてつまんなかった」
リジェネは、褒められてもそんなつんけんした態度。
ティエリアは褒められてほても嬉しそうにしていた。
「ありがとうございます、ニール。ニールも前回より順位あがってますね」
「あーうん。ちょっとがんばったから」
とはいうものの、テスト期間にクラブ活動は中止だったが、他校の知り合いと、午前中までの授業が終わったらストリートバスケをライルとしたりで、実はあんまり勉強していない。ほとんど一夜漬け。
それでこの成績をとるのだからなかなかだろう。
「刹那は?」
「俺は14位。前より3つあがった」
「良かったね」
「ああ」
刹那も嬉しそうだ。刹那は国内でもTOPクラスの大学への進学を希望している。本当なら、10位以内に入りたいところだが。全国学力テストでは、87位だった。悪くはない。
この私立ガンダム学園は、全国でも有名な進学校だ。この学校から全国学力テストで10位以内に入る人間は流石に今までいなかったが、15番などの優秀な成績をとる生徒は数名いる。IQ180のティエリアとリジェネの存在で、理事長は鼻が高いったらありゃしない。
旧知の他の高校の理事長に自慢しまくっている。
「残るはアレルヤだけど・・・・」
アレルヤは、順位が貼り出された看板の隅っこでずーんと沈んでいた。
「アレルヤ?どうしたの。成績さがっても、また勉強して頑張れば・・・・」
「ふふふ・・・・どうして・・・僕と同じように、テスト期間まで遊んでいたティエリアやリジェネは1位で、僕は・・・・2週間も前から勉強したのに」
「ええと、アレルヤアレルヤ・・・・」
名前をニールが探すが、見当たらない。
もしかしてと思って、後ろから探すと256位にアレルヤの名前があった。
「あちゃー。またやったなお前。赤点何教科だよ!」
「4つ・・・・」
流石のティエリアとリジェネもかかける言葉を失う。
「アレルヤ・・・お前は、授業中は寝ているし、勉強するといっても、教科書を開いて10分で寝たんじゃないのか」
刹那の厳しい指摘に、アレルヤはどんよりと曇った顔で笑う。
「ふふふふ・・・よく分かるね刹那。その通りだよ」
スポーツ特待生として入学してきたアレルヤに、難易度の高いここの期末テストはつらいものがあるだろう。
ここの上に続く大学は、多くの在校生がそのまま進学する。私立ガンダム大学なんてふざけた名前だけど、知名度は高い。国内でも10位以内に入る大学だ。
最も、刹那が進学を希望するのはこの上の大学ではなく、それよりも更に上位に位置する難関大学を狙っている。
人生、まずは中学から始まって、高校、そして大学で就職先も大きく変わってくるというものだ。もっとも、一流企業に就職できたからといって、能力がなければ給料は低いし、最悪首もある。
先進諸国とはそんなものだ。だが、能力があればたとえ高卒でも大学卒業並みの給料をもらえたり、同じ年代とは飛びぬけて、優秀であればあるほど給料は伸びていく。
刹那はまだ、どこに就職しようとかそういうことは考えていない。
とりあえず、いきたい大学だけは決めていた。
ちなみに、ニールのなりたい職業は昔から変わらない。
保父さん。子供好きなニールらしいといえばニールらしい。

「アレルヤ・・・・またやったわね。ちょっとこっちきなさい」
「マリー!」
アレルヤの順位を見て、彼女のマリーが怒っていた。夏は、一緒にバカンスを楽しむ予定だったのだ。夏期講習は絶対に受けなくてはならない。
「ああああ、助けてみんなー」
「さらばアレルヤ」
「君のことは忘れないよ」
マリーに引きずられていくアレルヤに、皆手を振って別れを告げた。

まぁ、その日はアレルヤはたんこぶをたくさん作って帰ってきた。
こうして、アレルヤは再試験が決定した。
ティエリアとリジェネ、それにニールとライル、刹那までつきっきりで勉強を教えて、なんとか再試験で60点をとれたアレルヤは泣いて喜んだ。
これで、留年の危機から逃れられるものというものだ。
「これで、留年の危機は去った!でも夏期講習受けないと・・・赤点一教科でもとると、出なきゃいけないんだよね」
「あれ、アレルヤ赤点じゃないと受ける気なかったんだ。僕たちみんな受けるよ?」
「え?」
「だって、どのみちクラブ活動あるし。その延長戦みたいなものだから」
1位であるティエリアは、夏期講習を受ける気満々だった。ティエリアが受けるならと、リジェネも受けることになった。ニールとライルは去年も受けている。刹那は、夏期講習は無料なのでもちろん受ける。刹那は無料だとかタダという言葉にめっぽう弱い。バイトして人生節約できりつめて学生生活をしてきたので、バイトせずに勉学に励め今は、彼にとってはパラダイス。
ティエリアとリジェネのセレブ二人の両親の庇護の元で、ガードマンもしっかりしているから、あの学園伝説の変態も流石に世話になっているティエリアとリジェネの屋敷の別館までは押しかけてこない。
何度かおしかけてきたのだが、ガードマンに掴まってそのまま不法浸入罪でしょっぴかれていった。



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