太陽







「イアン、オッサン。イアン、オッサン」
「うるさい、ハロ!」
イアンが、ハロを追い掛け回していた。
「イアン、オコッタ。イアン、オコッタ」
「この、その捻じ曲がった尋常を叩き直してくれる!」
どこをどうすれば、AIの根性を叩き直せるのか分からなかったが、イアンは本気だった。
「捕まえたぞー」
すでに、息があがっていた。
流石に、おっさんといわれる年代になってしまったイアンも、体力が大分落ちている。
「アーレ、アーレ。オカサレル、オカサレル」
「誰がお前なんか犯すか!」
イアンが、ハロをべしっと叩いた。
ハロは、一度ティエリアがリセットし、プログラミングしなおしたはずなのに、昔のように刹那が少年時代に覚えさせた言葉を復活させていた。
「イアン」
「お、ライルか」
「すまねーけど、ハロこっちに渡してくんねー?」
「ったく、お前の相棒は性格が歪んでるな」
「まぁ、確かにそうかも。でも面白いぜ?」
「俺には分からん」
イアンは、ハロをライルに向かって投げる。
それを、ライルが無事にキャッチする。
「ハロ、オカサレタ、ハロ、オカサレタ。ハンニン、イアン、イアン」
「だ、そうだぜ?」
楽しそうに、ライルが笑い声をあげる。
「一度プログラミングしなおしてやろうか?」
工具を手に、キシャーとイアンが牙を向く。
「簡便簡便。これでも、俺の立派な相棒なんだ」
ライルは、ハロを片手に、去っていった。

イアンは、皆に好かれていた。
その存在が、周囲の人間を癒してくれるからだ。
誰もがイアンを尊敬し、そしてイアンは笑顔を絶やさない。
まるで、CBの太陽のような存在だ。
誰もがイアンのことを好きだった。
嫌いな人間は誰一人いない。

「イアン」
「おーティエリア。ガンダムの調整のほうは大分終わった」
「そうですか」
「リボンで髪をくくったりして、どうした?おめかしか?」
人懐こい笑みを、イアンが浮かべる。
「これは、ミレイナに無理やり」
「あー俺の娘がすまんな。簡便してやってくれ。どれ、貸してみろ」
「イアン?」
「これでも、娘の髪を結ってたからな。手馴れてるぞ」
ティエリアの髪から、不器用に結ばれたリボンを解いて、綺麗にティエリアの髪を一つにまとめると、リボンで丁寧に結った。
「刹那にでも見せてこい」
「親子そろって、僕を人形のように扱うのか」
「違う違う。素材がいいから、つい手を加えちまいたくなるだけだ」
「同じことだろう」
ティエリアは頬を膨らませていた。
ミレイナよりは年齢は上なのに、ティエリアは時折子供のような反応をする。
それが、イアンには楽しかった。

「あ、刹那だ」
イアンが指差す方向に、刹那がいた。
「ティエリア、探したぞ。イアン、ガンダムのほうは?」
「ああ、もう大分調整が終わった。あとは仕上げだけだ」
「いつもいつもすまない。感謝している。ところで、ティエリア、その髪は」
「俺が結った」
「イアンが?」
「器用だろう」
「器用だな」
「刹那、これは」
「似合っているぞ、ティエリア」
刹那に頭を撫でられる。ティエリアはほわんと溶けてしまった。
「イアン、ありがとう」
思い切り笑顔で、イアンに微笑む。
「あー、ミレイナ完全に負けてるな」
ぼそりと、独り言を呟く。
一人娘であるかわいいミレイナであるが、このかわいい無性の天使には、どう足掻いてもかてないだろう。
容姿が美しいからだけではない。ティエリアは、時折乙女のように本当にかわいらしい反応をする。
ツンデレな性格とのそのギャップが堪らなく、素直な時のティエリアは余計に、いつものティエリアよりも可愛く見えた。
「ティエリア、昼食にいこう。そうだ、たまにイアンも一緒にどうだ」
「んー俺は」
遠慮しようと思ったが、たまには一緒に昼食をとるのもいいだろう。
そして、イアンと刹那とティエリアは、一緒に昼食をとるのであった。

「あれ、イアンさんが食堂で食べてるなんて珍しいね」
アレルヤが、トレイをもって驚きの声をあげる。
「たまには、若いもんの中に混じるのもいいことだ」
イアンは、二人分の食事を食べてしまった。
まだまだ現役で、元気いっぱいだ。

イアンの笑顔は、今日も太陽のようにCBの中で、皆を照らしていた。

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イアンが主人公な小説!
2009.11.12.23:46の方のイアンリクエストに捧ぐ。
イアン、すきだあああああ