だからピーマン嫌いだって







「うぬぬぬぬ」
「はいはいあーん」
食堂で、ロックオンとティエリアは対峙してバトルしていた。
とてもとても静かなバトルだ。
ロックオンの手にはフォーク。フォークの先にはピーマン。

ピーマン。

ピーマンは、ティエリアの大嫌いな野菜。
苦いから嫌いという、単純な理由で嫌われた野菜だ。

「ほら、いい子だからあーん」
「あーんをしたら、そこで口の中にミサイルをいれるつもりですね!」
「ピーマンのどこがミサイルだよ!」
「味がミサイルです!」
「ほら、こんなにおいしいよー?シャキシャキしてて、歯ごたえもいいし、健康にもいいよ〜?」

ロックオンは自分でピーマンを食べてみせる。
「ほら、大丈夫だって。食べても平気だから」
「ロックオンが、今からジャボテンダーさんをもってトレミーを一周してきてくれたら、食べます」
「おお、そうか!!食べる気になってくれたか!じゃあ、俺、ジャボテンダーもってトレミー一周してくるわ!!」

ロックオンは、ご機嫌でジャボテンダーを抱えると、しゅたっと廊下にでると走り出した。

ニヤリ。
ティエリアはほくそえんだ。

「刹那!!」
「なんだ?」
「はい、在庫〜。全部食べるべし」

ティエリアのトレイの皿に残っていたピーマンを、ティエリアは立ち上がって後ろの席にいた刹那の皿にざーっと落とした。

「・・・・・・また残したのか」
「文句でもあるか!」
「食べ物を粗末にするのはよくない」
「じゃあ君は、うんこを食べれるか!?」
「いや、それは無理だ」
刹那は即答した。

っていうか、ティエリアの中でピーマンはウンコと同じカテゴリにあるのか?
謎だ。

「帰って来たぞ、ティエリア、さぁピーマ・・・あああ、ない!ピーマンがない!!」
「ぜ、全部食べました!ロックオンがいない間に」
えへって、作り笑いをして、精一杯かわいく見せるティエリア。
上目遣いでロックオンを見て、小首をかしげる。
完全に、ロックオンは落ちた。その攻撃で。

「あーあ、また騙されてる」
アレルヤがぼやく。

「そーかそーか、偉いぞティエリア。さぁ、一緒に部屋に戻ろうな」
ロックオンからジャボテンダーを受け取って、ティエリアはロックオンに見つからないようにそれをアレルヤに投げつける。

「げぼふ!」
「触らぬ神に、たたりなし・・・だ、アレルヤ。学習しろ」
「そうだね、刹那・・・・ぐふ」

「どうした、いくぞティエリア」
「あ、はーい。ちょっとジャボテンダーさんが宙を飛んだもので。回収してました」
ロックオンとティエリアは、いつものように、寄り添い合ってロックオンの部屋に向けて歩いていく。食後は大抵というか、生活のほとんどをロックオンの部屋で過ごしているティエリア。
あとに残されたのは、大量のピーマンを食べ続ける刹那と、気絶したアレルヤだけだった。

ちなみに、ジャボテンダーは投げるためにあるのではありません。
愛玩用でもありません。ジャボテンダーさんは、立派な立派な抱き枕です。
でも、みんなジャボテンダーを人のように扱うので、元が抱き枕であることを知る者なんて、もういないんじゃないだろうか・・・・。