私立ガンダム学園「卒業式」A







卒業生が全員入場して、前だけブリーフをはいた格好のほとんど全裸に近い姿のグラハム先生は、ケツをプリプリ見せながら、屁をこいた。

プ〜〜。

「うわ、くせっ」
「くっさ!」

すごい異臭に、みんな鼻をつまむ。
「あ、実がでた
グラハム先生の言葉に、すかさず刹那はハリセンをうならせた。卒業生の席で、グラハム先生が座っている場所まで高速移動すると、スッパーンと頭をはたいて、彼が愛用しているフンドシをゴム手袋で防菌した上でグラハム先生につきつける。
「卒業のときくらいちゃんとしたらどうだ、ハム仮面。ブシドー精神はどうした。ケツを見せてどうする。ふんどしをちゃんとしめろ!」
「しょ、少年・・・・」
グラハム先生は、耳にさした薔薇を花を口にくわえて、涙を流しながら刹那からフンドシをうけとって、その場でしめる。
ハム仮面でもありブシ仮面でもあるグラハム先生は、晴れの舞台ということもあり、ちゃんとフンドシをしめて、座りなおした。
刹那は、首を絞めてそのまま死ねと本当は言いたかったのだが、彼もこれでこの学園から晴れていなくなるので、我慢した。

「在校生代表、刹那・F・セイエイ君より、卒業生のみなさんへの祝辞です。刹那・F・セイエイ君」
「はい」
呼ばれて、在校生の席に戻った刹那は立ち上がった。
何故彼が選ばれたのか。
刹那は、実は生徒会に入っていたりする。副生徒会長だ。生徒会の仕事なんて何もしないけど。何にもしないでガンダム部でクラブ時間を過ごして、ティエリアやリジェネと一緒に帰宅して、同じ敷地内にある、別宅に戻る。それが彼の日常。
刹那の部屋はガンダムのプラモでいっぱいで、彼の勉強ノートを開くと、ガンダムエクシアだとかガンダムOOだとかの落書きでいっぱいだ。

「3年生の皆さん、卒業おめでとうございます。グラハム先生、卒業おめでとうございます、そのまま帰ってくんな、もうお前の顔見たくないから」
在校生も卒業生も、刹那の言葉にうんうんと同調する。

「ふ・・・・嬉しいよ、少年。君に祝ってもらえるなんて。すでにハム先生の股間はギンギンだ!」
「去れ!死ね!学園から消えろ!俺の人生の前からいなくなれ!」
刹那は叫んだ。

そして、そのまま在校生が一人づつ呼ばれ、卒業証書を受け取り、在校生から花束を貰って席に戻っていく。
いよいよ、最後の一人、グラハム先生の出番だ。
校長先生は、グラハム先生の名前を呼んだ。
「3年E組、グラハム・エーカー君」
「はい!」
グラハム先生は耀いていた。
そのまま卒業証書を受け取り、他の先生たちからもたくさんの花束をもらって、席に戻る。
グラハム先生、泣いていた。
「うううう・・・・みんなぁ・・・・」
「いなくなって嬉しいぞハム仮面・・・・」
刹那も泣きそうなくらい感動していた。

3年E組に席をおいていたグラハム先生だったけど、高校生として一緒にみんなと授業を受けたことはない。彼は教師。職員室に3年E組出張席と書かれた席にグラハム先生はいつも座っていた。
そして、いつも男子生徒追い掛け回してセクハラしたり、特に刹那を激しくストーキングしていた。

卒業生の皆が立ち上がり、拍手と一緒に体育館を出て行く。
グラハム先生は、涙をたくさん流しながら立ち上がって、刹那の前にまでくると手を差し出した。
「お別れだ、少年!先生は、卒業しなければならない。もう、この学園とはさようならだ」
「ハム仮面・・・・・」
最後だ。
素手に握手くらい、してやろう。
慈悲の心で握手をかわしてやる。
「はぁはぁ・・・・少年の手スベスベ・・・・はぁはぁ・・・・」
「離せ」
「いやだ、少年!」
「離せーーー!!」
「いやだーー少年!!」

「グラハム先生、はーい、刹那のカッターシャツ!」
ティエリアが、刹那の手を握って動かないグラハム先生の前に、こっそりと持ち出してきた刹那の本物の着替えのカッターシャツをちらつかせる。
「クンクン・・・おお、これは本物の少年のカッターシャツ!」
「・・・・・・・ほーらほーら」
「ワンワン」
犬のように座るグラハム先生に、たっぷりと刹那のカッターシャツをちらつかせて。
「消えうせろーーー!!」
ティエリアは、美しい顔をそのままに、グラハム先生の首根っこを掴むと、天井にむけて放り投げた。
どれだけ勢いがあるのか、天井に近い窓から、グラハム先生は消えてお星様になっていった。
「ありがとう。助かった、ティエリア」
「どういたしまして」
「よかったな、刹那。これでハム仮面は消えた」
眠り姫と呼ばれ、同じくグラハム先生の餌食にもなっていたニールが明るく笑った。
ライルも、リジェネも、ティエリアもアレルヤも、みんなグラハム先生の餌食になっている。刹那ほどではないが、着替えの衣服を盗まれたり、盗撮されたり、とにかくグラハム先生の変態行為はマイスターたちの学園生活を暗くするくらい影響していた。

そのハム先生がいなくなった。
ああ。
もう、春休みをあけた学園生活はパラダイスだ。
 



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