ホワイトラヴァーズ「後悔はしていないから」







ティエリアは、ロックオンとついに最後まで関係を持ってしまった。
もう、後戻りはできない。
ティエリアは、行為のせいかそのまま熱をだし、二日間ねこんだ。
ロックオンは解熱剤を噛み砕き、ティエリアに口移しで飲ませた。水も、口移しで飲ませる。
出血もおさまり、やがてティエリアは意識を回復した。
「おはよう、ティエリア。無理させてすまなかった」
「いいえ。あなたと一つになれて、僕は嬉しかった」
起き上がろうとするティエリアを、無言でロックオンが制する。
「愛している。誰にも渡さない」
「ロックオン、愛しています」
ティエリアが、ヴェーダを失って、はじめて微笑んだ。
「僕は、こうなったことを後悔していません。むしろこうなって良かったと思っています」
「ティエリア」
「あなたは僕のものだ、ロックオン。誰にも渡しません」
「ああ、俺はティエリアのものだよ」
二人で寄り添いあい、深い口付けをかわる。
そのまま、舌を絡ませあう。
「約束してください。絶対に、僕を置いていったりしないと」
「ああ、約束する」
「世界中の誰よりも、あただだけを愛しています。あなただけいてくれるなら、僕は全てを失ってもいい」
「ティエリア」
「僕は、あなたのお陰で人間になれました。感謝しています」
「人間は、いいだろ?」
エメラルドの瞳が細められる。
「はい。人間は、儚くも脆いのに、とても強い。人間であれることが、今の僕の誇りでもあります」
「ティエリアは、人間だ。誰がなんといおうが、人間だ」
「はい。あなただけの、ティエリアでありたいです」
「俺も、お前だけのロックオンでありたい」
二人は、永遠の愛を誓うように口づけする。

天は人に試練を与えた 神は人に試練を与えた
生きることへの試練を 人は生きながら噛み締める
天は人に愛を与えた 神は人に愛を与えた
人は生きながら愛し合う 愛の素晴らしさは無限だ
エデンへの扉は締め切られたままだった
けれど人は鍵を手に入れた 人は罪深い
エデンに入る資格などないのに 人は鍵で扉を開けた
アダムとイヴが食べたという木の実を
人は口にする そしてまた罪に身を染める
天は人に試練を与えた 神は人に試練を与えた
生きることへの試練を 人は生きながら噛み締める
人は無限の可能性を秘めたまま生きる
愛の軌跡を 何度も何度も繰り返しながら
天は人に愛を与えた 神は人に愛を与えた
人は生きながら愛し合う 愛の素晴らしさは無限だ
愛の軌跡を 何度も何度も繰り返しながら


ティエリアは唄を歌った。ロックオンが好きだといってくれた愛の唄を。
二人は、一つのベッドで丸くなって眠った。

やがて、その幸せな眠りを妨げるような警報がなる。
敵襲だった。
ティエリアもロックオンも、急いでノーマルスーツに着替えて、ヴァーチェとデュナメスを発進させる。
アレルヤと刹那はもう出撃してしまった。
戦闘は、過酷を極めた。
ヴェーダのバックアップがなくなり、苦戦を強いられる。
「トランザム・・・・イオリアの、いや、ガンダムの意思・・・・。俺がガンダムだ!」
刹那は、トランザムを解放し、狂ったように敵を切り裂く。
デュナメスも、キュリオスも同じようにトランザムを解放する。
それでも、敵の大群に、苦戦を強いられる。
ヴァーチェは、GNフィールドをはりながら、ハイパーバーストで敵をなぎ払う。
「ヴェーダ、ヴェーダ!!」
ティエリアは叫ぶ。
叫んでも、ヴェーダの声はない。
敵が、ティエリアに迫る。
ティエリアは涙を零した。
やはり、僕はヴェーダに捨てられたんだ。
「ティエリアあああ!」
ロックオンの乗ったデュナメスが、ティエリアと敵の間に滑り込む。
破壊音。
バチバチと、飛び散る火花。
蒼く輝くGN粒子。
「ロックオンーーー!!」
ティエリアが、絶叫した。
大破したデュナメスを守るように、トランザムしたエクシアとキュリオスが戦い、なんとか敵は撤退した。
そのまま、ガンダムは全機トレミーに収容される。
「ロックオン、ロックオン!!」
担架に乗せられ、血まみれになり意識不明のロックオンが、医師たちに囲まれて緊急オペ室に運ばれる。
「いやだ、ロックオン!僕を残して死なないで!」
すがり付こうとするティエリアを、医師の邪魔にならないようにと、アレルヤがひきとめる。
「離して!いやだ、嫌だああああああああああ!!!!」
鼓膜を劈くような絶叫がティエリアの喉からひっきりなしに溢れ続ける。
「ロックオンは大丈夫だから。だからしっかりするんだ、ティエリア!」
アレルヤが、強くティエリアに言い聞かす。
「嫌だ、嫌だあああああぁぁぁぁぁーーーー!!」
アレルヤの言葉も届いていないようで、ティエリアは錯乱した。
医師の一人が、鎮静剤をティエリアに打った。
「僕を置いていかないで、ロックオン。どうして僕なんて庇ったの・・・・・」
涙を零しがら、混濁していく意識の中、ティエリアはただロックオンのことだけを思った。

どうか、神様。
僕から、ロックオンを奪わないで。
どんな罰でも受けます。
だから、僕からロックオンを奪わないで。
愛しているんです。
あの人を、ただ愛しているんです。
ロックオンがいてくれれば、それだけでいいんです。
どうか、神様。

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