南の島でひゃっほい3







ロックオンとティエリアは、夕暮れになった砂浜を二人で歩いた。
ぎゅっと手を繋いで。
ティエリアの髪にはハイビスカスがさされている。ふつうではサラサラの髪にさすことはできないので、髪ごむをひっかけていた。
ティエリアの髪には、草津の温泉の時にロックオンからもらった翡翠の髪飾りがとめられてあった。
ティエリアはとても気に入ったのか、最近の髪飾りはそればかりを使っていた。
ザァン、ザァン。
満ちては引いていく波をみる。
「綺麗ですね」
「きてよかっただろう?」
「はい」
そのまま、二人は浜辺に座った。
ティエリアが、小さなカニを見つけて追いかけだす。
カニを捕まえると、指をはさみで挟まれてしまった。
「あいたたたた」
痛いといいながらも、カニを放さない。
純真な子供のような表情。
ロックオンは、ただ愛しくそれを見ていた。
やがてカニに飽きたのか、今度は砂浜の砂でお城を作り出した。
ロックオンも手伝う。
わりと綺麗に完成したそれに、城門をつくるための穴を掘り出す。
反対側のロックオンと、砂の中で手が重なった。
ティエリアが、ロックオンに触れるだけのキスをする。
抱きしめようとするロックオンを避けたことで、砂でできただけの脆い城はすぐに崩れてしまった。
そのまま、ティエリアはパシャパシャと浜辺を駆け出した。
「待てよ、ティエリア」
ロックオンが追いかける。
追いつかれて、抱きしめられた。
砂にまみれた手を波であらって、タオルでふきとる。
二人は、じっと互いの瞳を見つめあってから、深い接吻をした。
ザァ、ザァと波が押し寄せては返す。
ポトリ。
ティエリアの髪から紅いハイビスカスが落ちて、そのまま波にさらわれてしってしまった。
「愛しているあなたに、幾千幾万の幸福を」
ティエリアがロックオンの手を握り締める。
「俺の幸福は、お前さんが隣にいてくれることだ。愛してる、ティエリア」
抱きしめれば折れそうな細い体。
細く白い肢体を抱きしめる。
ぎゅっと、離さない。
「大好きです、ロックオン」
「俺もだよ、ティエリア」
ロックオンの唇が、そのまま首筋に落ちる。
ティエリアは震えてロックオンの背中に手を回した。
「そろそろ、戻ろうか」
「あ・・・・貝殻」
桜色の貝殻を拾い上げて、ティエリアはロックオンに渡した。
「あげます」
「ありがとさん」
並んで、二人は歩き出す。
夕暮れが、二人を染め上げていた。




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