ユダ−背徳の罪−「歩んでいく」







「おはよう、刹那」
「おはよう、ティエリア」
二人は、目覚めるとおはようのキスをした。
「今日は、ロックオンと彼の墓参りに行きたい」
「ああ、分かった」

ティエリアが生み出したロックオンは火葬され、灰は海にまかれた。
それが、ティエリアの願いでもあったから。
母なる海に還っていくことを、ティエリアが望んだのだ。

アイルランドの地を踏む。
そして、昔建てたロックオンの墓の前にくると、白い薔薇の花束を二つ捧げた。
ロックオンと、そしてティエリアが生み出したロックオンの分の二人の花束だ。
ティエリアは二人を深く愛していた。
ロックオンを愛しすぎていたが故にティエリアは壊れ、ロックオンという存在の命を生み出し、愛し合った。
けれど、それを神が許さなかった。

ユダは、裏切りの果てに何を得たのだろうか。
ルシフェルは、裏切りの果てに魔王となり、それで満足したのだろうか。

ティエリアは、ユダとなりルシフェルとなった。
その果てに得たのは、哀しみだけだった。

愛した人を二度も失ったティエリア。
刹那は、はじめティエリアが自殺するのではないかと危惧していたが、ティエリアはしっかりと前を向いて生きている。

「愛しています、ロックオン」
「ロックオン。ティエリアは、俺が守り、愛するから。安らかに眠ってくれ」
二人のロックオンへ、共に祈りを捧げる。

「僕は、もう逃げない。刹那、君を愛している」
「ティエリア」
刹那は、マリナと別れ、ティエリアをとった。

「刹那、愛している」
「俺も愛している。家族になろう」
すでに、昔マリナと東京で住んでいた時に籍は入れてある。

二人は結婚式を挙げることもなく、互いに寄り添い合うようにいつまでも一緒にいた。
「愛している、ティエリア」
「僕も、愛しているよ、刹那」

二人の愛は、もう歪んではいない。
純粋な愛の軌跡だ。
互いを大切にしあい、深く愛し合った。



そんな二人を見つめて、天国で、ロックオンが微笑んでいた。

                
                  
                      ユダ−背徳の罪− The End
                                                          Presented by Masaya Touha
                                             
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ロクティエ、最期は刹ティエ。
マリナをついに刹那が振ってしまった。
刹マリサイトでもあるのに。
でも、うちの刹那は、きっとティエリアを選ぶ。
ティエリアを、深く愛しているから。