僕は、強く生きます







たとえ、どんな結末が待っていようとも、僕は生きる。
生きて変わって、戦いぬく。

ティエリアは、そっと宇宙を漂うトレミーから、星たちの見える窓に手をついた。

何百万光年も離れた星に、そっと手を伸ばす。

「たとえどんな結末が待っていようとも、僕は」

虚空に向かって、手が伸ばされる。

その手を、いつもロックオンが優しく握ってくれた。

今はもういない。

ティエリアは石榴の瞳を金色に輝かせた。

トレミーを率いて、CBを建て直したティエリア。リーダーとして、一人で歩んでいくティエリア。

仲間に包まれながらも、孤独なティエリア。

「たとえ、どんな結末が待っていようとも、僕は」

そっと、光り続ける星に向かって手を伸ばす。

この広大な宇宙を、きっとロックオンは今も漂っている。

その魂は、絶対に自分の中にあるのだとティエリアは信じている。あの人は、僕の中で生きている。僕を守ってくれた。僕を愛してくれた。あの人の魂は、絶対に僕の中に在る。

「たとえ、どんな結末が待っていようとも、僕はあなたを愛し続けます、ロックオン。ずっとずっと、永遠に愛し続けます」

頬を涙が伝った。

虚空に向かって手を伸ばす。

その手をとってくれる相手はいないけれど。

きっといつか、またあの人の魂に、どんな形になっても未来で巡りあえる。
生まれ変わって、巡りあえる。

それまで、強く生きよう。あの人の分まで、生きるんだ。

「ロックオン、僕は生きます。強くなりたい。あなたの強さを僕に下さい。僕は強く生きたいです」

コツンと、窓に額を押し当てる。

「ううう・・・・ロックオン、ロックオン・・・・」

強く生きると決めたのに、もう涙を零している。

どうしようもないのかもしれない。

ロックオンのことだけは乗り切れない。何度でも、涙を流す。

「今は、泣かせてください。何度挫折しても、きっと立ち上がってみせます。だから、涙を流させてください、ロックオン」

窓の向こうには、たくさんの星が光を放って眩しく煌いている。

信じるんだ。

彼の魂は、自分の中に在るのだと。

今でも自分を愛してくれているのだと信じる。

「僕は、強く生きます」

涙をふきとって、きっと顔をあげる。

凛とした美しさを備えた天使は、羽ばたきはじめる。

明日のために、仲間のために。

そして、自分を守っていなくなってしまったロックオンのために。