スキーでひゃっほい8







「溶けちゃった・・・・ジャボテンサーさんとサボテンサーさん」
「あーうん。溶けちゃったな」
哀しそうに、残骸となった雪の塊を見るティエリア。
ティエリアを抱き寄せて、その頭を撫でる。

あまりのいいお天気に、作られた雪だるまたちは溶けてしまった。

雪原の一部も溶けている。スキーできないことはないが。
かまくらも溶けてしまった。
「ああ、せっかく次は10キロ離れたスミスさんちから電源かりてきたのに」
アレルヤが残念がる。残念がる部分が普通とずれているが、本人はいたって真面目だ。
ロックオンが、刹那の手から戻ってきたハリセンで、アレルヤの頭をスパーンとはたく。
「10キロはなれたスミスさん!?またこの子は、勝手に電源拝借して!犯罪はいけません」
「10キロ、歩くの大変だったんだよ!?」
「そもそも、電源はロッジにもあるだろう」
ティエリアの一言に、アレルヤは氷像となった。
「アレルヤ、バカだな」
刹那が、ティエリアとこそこと言い合いをする。
「バカレルヤ。KYだよ。空気読めないやつだから、仕方ない」
「そうだな。アレルヤはKYだからな」

それを放置して、ロックオンはどうしたものかと肩をすくめる。

「ソリに乗ろう!」
突然、刹那が言い出した。昨日乗ったそりが、いたくお気に召したらしい。

「へぇ。このソリなら、四人乗れるな」
「じゃあ決まり」
「誰が押すんだ?」
ロックオンの問いに、刹那とティエリアの指がロックオンとアレルヤを指差した。

「とほほ・・・・年少タッグは強い」
「僕はKYなんだ・・・ハレルヤ。KYなんだって・・・・」

ソリを押して、雪原の上までくると、ティエリア、アレルヤ、刹那が乗り込む。
そのまま、ロックオンがソリをおして、最後にに乗り込んだ。
シュウウと、風を切っていくソリ。

「ところで、ブレーキは?」
ロックオンの言葉に、ティエリアも刹那もアレルヤも首をふる。
「ひゃっほいいいいいぎゃああああああああ!!!:
ロックオンはジェットコースターとか、とにかくそういう絶叫ものに近いスピードの出るものは苦手であった。
「あ!!」
ティエリアが、途中で振り返る。
でも、もう遅い。

ソリが緩やかな坂になり止ったとき、ティエリアは石榴の瞳に大粒の涙を溢れさた。
ポロポロと綺麗な涙を零すティエリアに、ロックオンがしゃがみこむ。
今のティエリアは、幼子のティエリアだ。
「どうしたんだ、ティエリア?」
「あなたにもらった忘れな草の髪飾りが、ソリの途中で外れて雪の上に・・・・僕は、どうすればいいんでしょう?」
「なぁに、また買ってやるよ」
「いやです!」
「ティエリア?」
「あれじゃなきゃ、いやです・・・・」
また、ポロポロと涙を零す。

こうして、ティエリアの髪飾り探せ大作戦は結構された。


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