もう一度愛せるなら「リジェネという名の天使」







イオリアの研究所を後にして、ティエリアの家に集まった。
ティエリアはまだ意識が飛び飛びであったが、精神連結は成功した。ティエリアの中にあったアニューが、アニュー・リターナという新しい肉体に、イノベイター同士であるためか、アニューの記憶の復活まではいかなかったが、アニューがいかにライルを愛し、ライルがいかにアニューを愛していたのかを、伝えることができた。

「私は、アニューの魂をもっていると言い切れません。でも、アニュー・リターナの記憶を一部受け継いでいます。あなたを愛しています、ライル。もう一度、私を愛してくれますか?」

ティエリアの寝室で、アニューは髪に生前よくしていたブルーサファイアの髪飾りをつけながら、ライルに抱きしめられていた。

「覚悟は、もう決めている。アニュー、たとえ魂が別人でも、姿形が同じだけでも・・・何度でも、お前を愛するよ。もう一度、俺の女になってくれ」
戦場で、ライルが叫んだ言葉だった。
「ライル・・・・・もう一度、愛して」
「何度も。何万回でも。新しく、愛の軌跡を描いていこう。俺と一緒に」
アニューは涙を零した。ライルも涙を零した。

リジェネも、不覚にも精神連結が一部繋がっていたせいで、二人の愛に涙を零す。

「ティエリア・・・・・愛してる」
「私も、あなたを愛しています」
別の部屋では、回復したティエリアに、ニールが愛を囁いている。

リジェネは、まるで救いの神のようだ。
天使、ではないかとライルもニールも思った。

「実は・・・・すでに、隣の家密かに購入してるんだよな」
ニールが、とんでもない事実をばらす。
本当は、隣にアレルヤとマリー一家を出迎えるはずだったのだが、それはまた先延ばし。
「ライル。隣に住むといい。アニューと一緒に」
「兄さん・・・・」
ライルは、子供時代に戻ったように、ボロボロ泣いた。アニューも一緒に泣いている。ティエリアも泣いている。
リジェネだって、泣いている。

「どうして、僕まで泣かなきゃいけないんだ」

リジェネは涙を零しながら、アニューの精神分析をして、異常がないかを確認した。

「保障するよ。君が愛したアニュー・リターナの記憶を持っている」
「リジェネ・・・ありがとう」
アニューは、リジェネを抱きしめた。
リジェネもアニューを抱きしめた。

「代償を、もらおうか・・・」
リジェネが、小悪魔のように微笑む。
「別にいらないんだけど・・・・ライルとアニューの不幸を、代償にもらうよ」

「リジェネ、本当に愛している」
ティエリアが、自分からリジェネに抱きついてきた。
ティエリアのように、美しいリジェネ。悪魔だといっているが、ほんとうに天使ではないのだろうか。




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