ラブファントムU「君と歩いていくよ」







「不思議だね。ニールの指輪、刹那とは指のサイズ違うだろうに・・・・本当に、ぴったりだ」
ティエリアは、あの日家に帰ると泣き疲れて刹那の手の中で眠ってしまった。
夕食もとらず、ペットたちのエサだけあげて、刹那も泣き疲れて一緒のベッドで眠った。

ティエリアは、丸三日起きてこなかった。
刹那は、でも信じていた。
一緒に歩いていくと、誓ったのだ。

三日目の朝、ティエリアは目覚めた。
深く眠り続けることで、精神的ショックをずるずると引きずることを回避したのだ。
「愛してる、ティエリア」
「僕も愛してる、刹那」
二人は、恋人のキスを交わす。

不思議だね。ニールとこうして、昔キスをしていた。
ニールはまた消えたけど、自分の心の中に生きているのだと、実感を持っていえる。
本当に不思議。

夢は見なかった。
ニールは、最後まで笑顔だった。

「ねぇ、刹那」
「ん?」
朝食を食べだした刹那の横に座って、ぺったりとテーブルにはりつく。
「結婚式、しようか」
「ぶほっ!」
いきなりの言葉に、刹那はむせて、朝食のパンをふきだした。
「大丈夫?」
ティエリアの髪は、肩の長さで切られている。昔のように。
刹那も伸びていた髪を一緒に切った。

まるで、四年前のガンダムに乗って、擬似恋愛をして戦っていた頃に戻ったかんじだ。
「実は、もう会場も決めてあるんだ」
「本気、か?」
「刹那はいやか?」
「そんなことはない」
「アイルランドで・・・・・ニールと結婚式を挙げようといっていた会場だけど、いいかな?」
「ああ、構わない」
刹那の手が伸びて、ティエリアを愛しそうに撫でる。

「それで、今日はアイルランド行きの便をとってるんだが、構わないか?」
「かまわ・・・・今日か?」
刹那は、CB機関で働いている。
「私のわがままだ。聞いてくれないか。アイルランドに発ちたい。ペットたちは、ペットホテルに預ける予約をしている」
「随分、積極的だな」
「あの人の墓参りに、最近行っていないことに気づいた」
「大丈夫か?」
「大丈夫。泣かないよ。刹那が隣にいてくれるから」
そのまま、急ぎで荷物をまとめてペットたちをペットホテルに預け、アイルランドに旅立った。
CB機関には、一週間ほどの休暇をもらった。

私は、歩いていく。
刹那と、一緒に。

それは、始まりのコトバ
あなたに、サヨウナラ
いつかまた、あなたに会えると信じて


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