世界が終わってもV「リジェラ」







一応は、ティエリアの希望も聞いて、子リジェネを真ん中にしてニールとティエリアは手を繋いで歩く。
そして、遊園地についた。
ティエリアはリジェネをだっこすると、リジェネの希望通り、いろんな乗り物に乗った。
絶叫マシーンからメリーゴーランドまで。

一人ポツンと、ニールは平日もあって、閑散とした中立っていた。
「青空が蒼いなぁ」
現実逃避をする。

ポッポーポッポー。
鳩が、ニールの前を歩いていく。
ニールは、青空を見上げたあと、適当なベンチに座った。

やられた。
完全にティエリアのハートを掴んだリジェネ。
当分は、ニールに出番はなさそうだ。

そのまま、三人で(形だけ)水族館にいったり、動物園にいったり。
リジェネははしゃぎ回る。童心に帰ったかのように。
ニールは、水族館でも動物園でも一人取り残させた。
「迷子のお知らせをいたします。ニール・ディランディさん、24歳、家族の方がお見えですので、案内カウンターのほうまでおこしください」
「ぶばっ」
することもなく、またベンチに腰掛けてドリンクを飲んでいると、そんな恥ずかしいアナウンスが流れた。
「クスクス」
「クス」
案内カウンターにきて、ニールは真っ赤になった。こんな恥ずかしい経験はしたことがないかもしれない。
「パパ、迷子。だっさいの〜。エンガチョ。シッシッ」
リジェネは、人格まで代わっていた。とことん、演じきるつもりらしい。
「リジェラ、そんなこといわないで。仲良くしよう?」
「うん、ママ。ママ大好き!」
なんとか仲を取り持とうとするティエリアを、大好き攻撃で陥落させる。
そして、ニールはまた、手を繋いだティエリアとニールの後ろを一人とぼとぼと寂しく歩くのであった。

時折、リジェネは振り返っては、黒い笑いを吐く。
「パパ。楽し〜い、で、しょおおおおお?ふふふふふふ、ふふふふはははははははは!!!」
「かわいい笑い声だね、リジェラ」
ティエリアは、もう盲目的になっていた。
リジェネがかわいすぎて、今日一日、どんなに望んでもティエリアがえることのできない、ニールの子供、という存在になってくれたリジェネを愛しまくる。
「ママ、ここで夕食が食べたい。パパはもう帰るって」
「そう。ニール、じゃあまた後で」
「いや、俺もい・・・・」

「パ〜パ〜、バイバイ〜〜。バ〜イバ〜イ!!!」

リジェネは、とってもとっても真っ黒な、それこそ暗黒貴公子みたいな笑みを浮かべて、のっぺりとした表情で手をふる。
ニールはガックリとうなだれて、一人帰路についた。

そのまま、リジェネはレストランで思いきりティエリアとベタベタした。
「お子様ランチー」
「食べさせてあげる」
「ママ、ありがとう〜v」

子供、悪くないかもね。
リジェネは、そう思い始めていた。
いつもはニールのものであるティエリアが、リジェネに夢中になってくれて、惜しみない愛を注いでくれる。

二人が帰宅したのは、10時をまわった時間だった。
「リジェネ、寝ちゃった」
「そっか。もう寝かせて俺たちも同じベッドで・・・・」
「誰が寝たってぇ?いったじゃない、向こう一ヶ月僕はティエリアと一緒のベッドで寝るってさぁ」
ギョロリと、緋色の目が開いた。
ガッと、ニールの腕を掴んで、リジェネは投げ飛ばした。
力は変わらないようで、ニールは投げ飛ばされてジャボテンダー抱き枕とキスをした。

「リジェネ、おいで。一緒に寝よう」
「うん、ティエリア、寝よう」
子供用のパジャマも買った。歯も磨いて一緒に風呂も入ったティエリアとリジェネは、幸せそうに一緒のベッドで眠りにつく。
こっそりと、一緒のベッドに進入しようとしると、リジェネはカッと目を見開いて、ニールを投げ飛ばした。
「ああん?お宅、何様のつもり?僕は、ティエリアと契約したんだよ。ニールは、その付属品。契約は、守らなくちゃねぇ。だって、君があの店に連れて行ったせいで、僕は女の子のゴスロリの服を着させられて、着替えまでいっぱい買われたんだから」

「はい、ごめんなさい・・・・」

ニールはジャボテンダーさんを抱いて、一人虚しく寝るのであった。




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