「セラヴィ、ティエリア・アーデ、出る」 ヴェーダの奪還。 それは、イノベイターを倒すことに繋がる。 不思議な気分だった。あれほど固執していたヴェーダの奪還を前に、気分はとても落ち着いている。 月の裏側に、敵の戦力が集中しているという。 そこを突破して、ヴェーダの奪還を図らなければならない。 苦しい戦いになることは、目に見えていた。 「ロックオン」 操縦桿を握り締めて、そう呟いた。 最後の戦いの火蓋が、いよいよきって落とされる。 アロウズを叩き、ヴェーダを奪還し、そしてイノベイターを倒すための戦いが。 コックピットには、一輪の忘れな草の花が置かれていた。 発進と同時に、それはふわりとコックピットを漂う。 「ロックオン。見ていてください。最後まで。私は、戦って生き残る」 そう、生き残ってみせる。 もう、誰も死なせたくない。 世界を変えるために、長い時間歩んできた。 ロックオンが死んで、もう五年近くになる。 「見ていて。私は、あなたに恥じない結末を導き出して見せます。どうか、私を守ってください」 セラヴィが、宇宙を翔る。 最後の戦いを、未来を、切り開くために。 あなたの意志を継いだのは、刹那だけではない。 私も、ちゃんと継いでいるから。 きっと、アレルヤもライルも。 「GN圧縮粒子、全面解放!」 GN粒子の光が満ちる。 破壊の光。 でも、それはきっと明日へと繋がっている。 そう信じて、ティエリアは戦う。 誰でもない、ガンダムマイスターの一人として、ロックオンの意志を継ぎながら、他の仲間と一緒に。 |