22話補完小説「世界を取り戻せ」







ケルヴィムが発進する。

「アニュー」

ノーマルスーツの中には、彼女にあげた忘れな草のブルーサファイアの髪飾りを入れている。

大事な大事なお守りだ。

「アニュー、見ていてくれ。お前の仇をとってみせる」

アニュー。

アニュー。

幸せな記憶が溢れかえる。

もう、どんなに切望しても戻ってこないもの。

アニューの死は受け入れた。ならば、仇を。この手で。

ライルは、戦う。アニューの死で挫折しかけたが、立ち上がった。

誰でもない、アニューへの愛から。

「アニュー。愛している。見守っていてくれ。そして、生き残って見せる。アニューなら、俺がこんな場所で死んだら絶対泣くから。アニューがいつまでも笑顔でいられるように」

操縦桿を握り締める。

月の、裏側へ。

終結した戦力に、呼応するかのように、カタロンの宇宙部隊もきてくれた。

そう、人を導くのは人なのだ。イノベイターなんかじゃない。アロウズなど、どこが正義だというのか。

「おおおおおお!!」

ビームライフルを、敵に照準をあわせて引き金をひく。

世界を、取り戻せ。

そして、生き残るんだ。そして、アイルランドをアニューに見せてあげよう。アイルランドの地に、アニューの墓をつくろう。

世界を取り戻すために、ガンダムマイスターたちは戦う。