禁忌でもいいから「恋人」







「アニュー!!」
ライルは叫んだ。
そして、涙を流した。
「アニュー、アニュー!!」
寝ているアニューを乱暴に揺り起こす。
「なぁに?まだ眠いわ、ライル」
「アニュー!」

ライルは、アニューの体を抱きしめた。
アニューは、トレミーに乗っていた頃のポレロ姿だった。
「どうしたの、泣いたりなんかして。なにか、哀しいことでもあったの?」
「アニュー・・・・・アニューがいる。俺の前に、アニューが!!」
エメラルド色の瞳から、いくつもの涙が溢れて零れ落ちた。
「ほら、泣かないの。いい男が台無しよ」
「アニュー」
ライルは、ただアニューの名を呼び、その体を抱きしめた。

「ライル、ただいま。ねぇ、私にアイルランドの町を見せて?」
「ああ。勿論だ」
アニューの手をとって、ライルはアニューを隣の座席に座らせると、町に繰り出す。
そして、アニューに似合う洋服を何枚もかって、アニューに着させると、一緒に手をつないでデートした。
「奇跡だ。神様が、奇跡をくれたんだ」
「そうよ、ライル。あなたが望んだから、今目の前に私がいるの」

一緒に、いろんな場所を巡った。
高級なホテルを予約して、二人で泊まる。
ああ、なんて幸せなんだろう。
アニューがいる。アニューが俺を呼んでくれる。アニューが俺を愛してくれる。
アニューは、綺麗に微笑んでいた。

二人で夜景が綺麗なホテル内のレストランで食事をする。
「いつ見ても、いい男ね、ライル。流石は私の恋人」
「アニューは、いつ見ても綺麗だな」
二人で、高級なワインのグラスを開けて、乾杯する。
「乾杯」
「乾杯」

何度もキスをした。
何度も何度も抱きしめあった。

目の前のアニューが、消えてしまわないように、手をつないで。
写真を記念にとる。

アニューが、生きている。
心臓に手をあてると、確かにトクントクンと脈うっていた。

「アニュー。誰よりも、愛しているよ」
「私もよ、ライル。ずっとずっと、愛してちょうだい」
「当たり前だ!誰がアニューをもう離すものか!」

二人は、その夜体をつなげた。
甘い甘い、恋人の時間が過ぎる。



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