う、うまれた!4







「ところで、ジャボテンダーさんの子供の父親は誰なんでしょう?」
すっかり、傷が癒えたティエリアのジャボテンダー。
といっても、包帯を巻いていただけなので、それをとっただけだが。
「刹那のジャボテンダーも女性だし・・・ま、まさかロックオン!?」
「ぶはっ!」
ロックオンは、飲んでいた紅茶を吹き出した。

「冗談です」
ティエリアは明るい表情で笑い声をあげる。
「だよな」
いくらなんでも、ジャボテンダーを孕ますほど落ちぶれてはいない。
ちゃんとティエリアという恋人がいる。
「ロックオンは、僕の恋人ですから」
きっぱりと言い放つティエリア。
でも、紅くなってる。

かわいいなぁ。
ロックオンはそんなことを思って、ティエリアを後ろから抱き寄せ、ベッドに一緒に座る。
頭を撫でると、ティエリアは擦り寄ってくる。
本当にかわいい。
昨日プログラミングをしていた時とは正反対だ。仕事をしているティエリアはとてもかっこよい。そう、誰よりも凛々しく孤高で。

「多分、あれじゃないか。ブリーフィングルームにあるサボテン。あれきっと雄だよ」
「なるほど。あのサボテンさんが、僕の知らない間にジャボテンダーさんに夜這いをかけていたのですね」
「夜這いって、お前な・・・・」
「ジャボテンダーさんは清楚です。自分から向かったりしません。僕に内緒で子供をこさえてしまうなんて・・・よほど愛し合っているんですね。今度、あのサボテンさんにジャボテンダーさんと子供のミニジャボテンダーさんを会わせてあげましょう。あなたの奥さんと子供ですよって」
「そうだな」
ブリーフィングルームにあるサボテンは大きめなので、部屋に移動することはできないだろう。

「ジャボテンダーさん。次に子供をうむときは、言ってくださいね。急に産気づいたりして、とても心配しました」
ジャボテンダーに話しかけるティエリア。
いつものおもしろおかしいティエリアだ。
「ティエリアは、ジャボテンダーの言葉が分かるんだな」
「はい。僕の前世はジャボテンダーでしたから」
「そうか」
「ちなみに、ロックオンの前世は・・・・ええと、メダカだそうです」
何かの本を出して、ティエリアは読んでいる。
「メダカ・・・・」
「その前は、金魚で、その前は綺麗な金色の錦鯉だったそうです」
ティエリアの頭を撫でて、そっと本を奪い取る。

タイトル「魚図鑑」

「・・・・・・・・・・・ふ」
ロックオンは、エメラルドの瞳を和ませる。こんなことだろうと思った。
ロックオンは怒らない。
「じゃあ、ティエリアはきっとジャボテンダーの前は淡水の人魚姫だったんだろうな。それで、魚の俺と恋をしていたんだ」
ティエリアが、ロックオンに口付ける。
拙いそれに答えて返す。

「金色の錦鯉か。鯉だけに恋してたわけだ」
「僕、刹那のジャボテンダー返しにいってきますね!」
「あ、あれ?」
滑った。ロックオンは、見事に滑った。
ロックオンが寒いギャグを言うと、ティエリアはいつものように反応することなく逃げ出す。
そして、刹那のジャボテンダーを持って、刹那の部屋にいって戻ってこなかった。
「とほほほ・・・・」

その日、ロックオンは虚しく、ティエリアと一緒に寝る約束をしていたのに、一人で寝る羽目となった。
ティエリアは、刹那と一緒に寝た。勿論、ジャボテンダー親子も一緒に。



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