「フェルト。一緒に、日本の俺の家に来ないか」 戦いも終わり、トレミーは世界を廻っている。 刹那は時折トレミーから降りて、日本の東京で過ごすことがある。 それはティエリアやリジェネ、ライルやニール、アレルヤやマリーも同じことだ。 フェルトは、持っていた書類をバサバサと地面に落とした。 突然のことで、開いた口が塞がらない。 「刹那。がんばれよ」 ニールが、刹那の頭を撫でる。 ここは食堂だった。ティエリアもつられて刹那の頭を撫でている。 「ああ、がんばる」 何をだ、というつっこみはない。 ティエリアとニールは仲良くカウンター席に座って、昼食後のソフトドリンクを飲んでいた。隣にはジャボテンダーもいる。 ニールの隣にはライルとアニューがいて、四人で一緒に談笑を楽しんでいた。 「刹那、私、その・・・・」 「だめか?一緒に買い物についてきて欲しいんだ」 「行くわ!」 フェルトは勇気を振り絞って、決意した。 「そうか。ありがとう」 刹那は、優しい微笑をフェルトに向けた。 フェルトはそれだけで幸せだった。 一緒に、フェルトと刹那は昼食をとる。ニールが復活したことで、刹那とフェルトの距離はぐんと近くなった。マリナはアザディスタンの皇女として一生を送ることを決め、もう刹那と会うこともないだろう。おそらくは。 未だに刹那は超小型パソコンでマリナと言葉のやりとりをしているが、刹那に向けられていたマリナの愛は聖母マリアの愛。それは全ての人を癒す愛だ。 一時期は、刹那はマリナを愛していると思っていた。彼女が愛してくれているから。でも、全ての人に向けられる平等の愛に、刹那はただこたえていただけなのだと自分で気づいた。 そう、彼女との愛は恋愛感情の愛ではない、まるで家族としての友人としての愛だった。 「では、一緒にきてくれるんだな」 「ええ。私でよければ」 そうして一週間後、フェルトと刹那は日本の東京にやってきた。 刹那の家はまだ綺麗なまま残っている。定期的にハウスクリーニングを頼んでいるので、家の中が埃をかぶっているということもない。 「これが、刹那の家」 「そうだ。昔はよく、ロックオンにティエリアアレルヤがやってきて泊まっていた」 フェルトは、心臓がドキドキと鳴る音を聞いてきた。 荷物は、奥の部屋に置いておいてくれ。 「ええ」 フェルトは着替えなどの入ったバッグを置く。 「外に出かけるぞ。準備してくれ」 「分かったわ」 NEXT |