一瞬の永遠「西暦2800年」







それは、一瞬の永遠。

時は西暦2800年。CBという組織は未だに世界に存在する。人類が戦争を起こせば、ガンダムマイスターたちが武力介入を開始する。
現在の宇宙総帥の名前はリジェネ・レジェッタ。そして、若きガンダムマイスターたちを指揮するCB代表の名前は刹那・F・セイエイ。二人ともイノベイターであり、不老不死である。

そう、これは物語の遙かなる未来。
かつてのガンダムマイスターたちやトレミーに乗っていたクルーたちは皆、天寿をまっとうした。
年齢が30台後半にもなると、ガンダムマイスターたちも交代する。唯一、記録に残っている中ではロックオン・ストラトスの名をもった、本名ライル・ディランディは40台前半まで前線で活躍したらしい。
その時代の他のマイスターであるアレルヤ・ハプティズムは28の時にトレミーを降り、ガンダムマイスターをやめた。彼女であるマリーと家庭をもち、CB構成員でありがなが静かな余生を送った。

「やぁ、10年ぶりになるね」
宇宙総帥であるリジェネ・レジェッタはCB代表の刹那・F・セイエイと久しぶりに出会った。
宇宙総帥の地位は、いわば世界における大統領のようなもの。CB代表の地位は、CB全体をまとめる総指揮官である。リジェネ・レジェッタという名の総帥は、世界各国の代表たちと首脳会談をしたり、宇宙に無数に存在するコロニーの代表者として本当に忙しい日々を送っている。
この時代の世界の産業はアンドロイドが担っており、アンドロイドにも人権が与えられている。人間と結婚することだって可能であった。有機物だけでできたアンドロイドは、本当に人間と何もかわらない。そう、人工生命体ともなにもかわらない。
リジェネ・レジェッタは宇宙に進出した人類を見守っている。
異種との遭遇、それはイオリアシュヘンベルグの計画。もうすでに対話ははたし、交流もある。
リジェネは宇宙にある全コロニーの総帥でもあった。
地球の統一大統領は人間で、リジェネは宇宙開発に力を入れ続け、その長い生の間にいくつもの人が住むコロニーを築きあげ、そのコロニーの総帥として何百年も鎮座し続けている。
「忙しそうだな、変わらず」
「そりゃねぇ。異種とのコンタクトも全て僕に任せられているから。地球に降りたかと思えば異種の住む惑星にまで行ったり、コロニーを点々と回ったり・・・本当に、総帥としての仕事が書類に捺印を押すだけのものなら、楽なんだろうけどねぇ」
リジェネは眼鏡を止め、永久コンタクトにしている。新しく開発されたコンタクトで、一度つけると眼球にはりつき、もう外す必要もない。

そう、時代は変わった。
「新しいガンダムマイスターたちは順調だ。22歳の女性、18歳の女性、20歳の男性、17歳の男性、31歳の男性、26歳の男性・・・・全員で6人だ。純粋太陽炉もあれから新しく作られなおし、ガンダムもそれぞれ・・・・・それにしても、まさかリジェネが総帥になるなんて思ってもみなかった」
「それはこちらの台詞だよ。まさか、刹那がCB代表になるなんて思ってもいなかった」
「そうだな」
「僕も自分でもなんで総帥なんてやってるんだろうかとたまに思う時もある。だが、これが使命なんだろう。イオリアの後継者である僕の」
「コールドスリープを一度したそうだな」
「ああ。生きてるのがつまらなくなってね。50年ほど寝ていた。それだけで、世界は大きく変わってしまった。アンドロイドが人類の生産の大半を占める世界になった」
「俺がガンダムマイスターだった頃は、アンドロイドなんてまだ開発中で人類社会に溶け込んで人権を与えられるなんて、夢のような話だった」
「そうだね」
総帥であるリジェネは、ダークグレーのコロニー連合軍の紋章が刺繍された豪奢な服をまとい、マントも羽織っている。
人々は、総帥のことを銀河皇帝とも呼ぶこともある。リジェネ・レジェッタの存在は宇宙においても地球においても絶対的なものであった。
その地位を脅かす者など、世界のどこにも存在しない。


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