「こんばんわ」 いつもはそんな挨拶をしないティエリアが、扉を開けると最初にそう言ってきた。 服はロックオンが買ったものではなく、通販かなにかで買ったものだろうか。あまりファッションというものにこだわらないティエリアであったが、まるで地球儀のような模様の長袖の服は、綺麗なグラデーションがかかって似合っていた。 いつもは見えない鎖骨が見える。 おーとか、ロックオンは鎖骨だ鎖骨だとか、ちょっと鎖骨フェチが入った視線でティエリアを見下ろす。 「何か?」 機械的な口調。 ロックオンは首をひねった。 いつもなら、ティエリアはロックオンにジャボテンダーで殴りかかってくるのだが。 扉を完全にあけて中に通すと、ティエリアは少しだけ不思議そうに見上げてきた。 「僕の顔に、何かついていますか?」 「いや・・・なんか、いつもと雰囲気違うかなって思って」 「フルムーン」 「へ?」 「今日は満月です。満月には、人を惑わす力があると信じられています」 「ああ・・・・宇宙にいるから、満月だとかそんなのわかんないけど、今日満月なのか」 「魔を魅了するそうです」 また、何か本でも読んだのだろう。ティエリアは何気ない小説を真に受けたりする。コアラの色は縞々だとか、パンダは実はにゃおーって鳴くとか・・・変なことをよく覚える。 IQは180をこえているはずなんだけどと、よく疑いたくなる。 ティエリアは、長い睫を伏せる。 光の照明で、長すぎるバサバサした睫が銀色に光っていた。いつも思うのだが、長すぎだよなとか思う。化粧をしたわけでもないのに、ほんのり頬に赤みがさしているし、唇は果実のように色づいて、つやさえある。 白い肌に、髪の影が落ちる。 サラサラと音をたてて零れる髪をかきあげて、ティエリアは微笑んだ。 その表情にドキリとする。 なんていうんだろう。 いつものおもしろおかしくかわいいティエリアじゃない。 なんていうのか・・・・色っぽい?もしくはかっこいい?なんだろう・・・・いつもよりも大人っぽい雰囲気がする。いつもは幼い部分を隠さないティエリアだったが、今日はなんだが人が変わったようだ。 いつもは天使のように見えるが、今日はなんだか堕天使か、悪魔のようだ。 そうだ、人を惑わす悪魔。 「ティエ・・・」 ロックオンの言葉は、ティエリアの唇に塞がれて途中で掻き消える。 そのまま、ベッドのほうまで引っ張られて、いつの間にかロックオンはティエリアに押し倒されていた。いつもとは逆だ。 「ちょ、ま!」 ティエリアは構わず、舌をからませて、ロックオンのエメラルドの瞳を見つめると、瞳を細めて長く綺麗に伸びた爪をもつ手で衣服の下に手をしのばせる。 わき腹を撫でられて、ロックオンはやばいと思った。 ティエリアの目は、狩人のそれだ。 「私が相手では、不満ですか?」 石榴色の瞳と視線があう。 ゾクリと肌が粟立つのが分かった。 また唇が重なる。 「いーや、全然」 「あっ」 ロックオンは、自分を押し倒していたティエリアをベッドに押し倒した。 「ずるい」 ティエリアは、そういった。 眼鏡をとって、キスを瞼の上にすると、ティエリアの腕が背に回ってきた。 今日はやけに積極的だなあと思いつつも、なんどもキスをくりかえす。 鎖骨に噛み付くようなキスマークを残す。 「んっ」 ティエリアの手が背から離れ、シーツを掴む。その手にキスをして、自分の背中にしがみつくように誘導する。 「きゃう」 耳朶を甘くかむと、高い声が喉からもれた。 「耳、あいかわらず弱いのな」 舌をからませると、ティエリアは少し震えた。 服の下にゆっくりと手を伸ばす。 「・・・・・・・ロック、オ・・・・ン」 ティエリアは、震えていた。目に涙をためている。いつまでたっても慣れぬ行為。いつも抱きしめあって眠る時がおおく、体の関係はあまり多いほうではない。無性のティエリアには、そういった行為は向いていないせいで、ロックオンも無理強いすることは決してない。 自称まな板な胸に手を伸ばす。確かに女性ではない無性のティエリアの胸は、大きくはない。だが、まな板というほど絶壁でもない。 あまり力をいれず、何度か触れるようなかんじで胸をいじる。 いつも思うのだが、ブラジャーなんてやっぱりつけていない。昔はさらしを巻いたりベストを着たりして、男性であるのだと主張するように、押しつぶしていたがロックオンが自然のままがいいと言ってから、ティエリアはベストを着なくなった。タンクトップ一枚。 「やあ・・・・見ないで!イヤ!」 ティエリアの服を脱がせると、ティエリアは首を振って手を交差して顔を隠してしまった。 「明るいの、いや?」 「うん」 ロックオンは優しくティエリアにキスをすると、照明のライトを消す。 それでもぼうっと浮かぶように薄い照明はついたままだ。 「これぐらいなら、大丈夫?」 ティエリアの瞳が、薄暗い中、真紅に光った。 まただ。さっきの、狩人の瞳。 ぞくりとした。 まるで、魔性の者のようにかんじて。ティエリアの瞳が闇の中では金色に光ることは知っているが、真紅に光ったことは今まで見たことがない。 欲望にぎらついた瞳ではなく、どこまでも孤高な雪豹か黒豹を思わせる瞳。狩人の瞳といっても、至高なる絶対存在のような色。 「あなたが欲しい」 耳元でそう囁かれて、流石のロックオンも参った。 秘所に指をいれて慣らしていく。本来、そんな秘所なぞ存在していなかったのだが、ロックオンを恋人として持ってからドクター・モレノがいうには、体が急激に女性化しているのだという。はじめは指だけで精一杯で、とてもではないが体を繋げることなど無理な器官であった。それが、急激に短期間で変化した。 無性というよりは、女性とカテゴリしたほうが近い体の造りに今ではなっている。 今まで、ソドムのような愛し方をロックオンは決してしなかった。ティエリアに負担をかけるだけだ。無性であるため、女性器も男性器をもたぬティエリアは、ソドムの愛し方をされて快感を得られるかどうかも分からない。 今ある器官は、確かにティエリアに快感を与える。 「平気?」 「ん・・・・あっ」 水音が僅かにする。愛液にぬれた指を、さらに増やしてティエリアの感じる場所だけを責めたてる。 「いやっ・・・・あっ、あっ、あう」 ティエリアの足が痙攣した。軽く意識を飛ばしかけている。いったみたいだと確信して、指を引き抜いた。 そこで終わろうかと思ったが、ティエリアが、ロックオンの肩に噛み付いた。 「もう、平気、だからっ。あなたもっ」 息があがっている。無理をしているのはばればれだが、求められて応じないほど男が枯れているわけでもない。ティエリアと舌がからむくらいの深いキスをしてから、ロックオンも衣服を脱ぐ。 「力、抜いて」 素直に、体から力をぬく。 額にキスをして、ロックオンはティエリアを引き裂いた。 「あーーっ」 裸の背に、ティエリアに爪が食い込む。 ティエリアの快感を引き出すように、弱いところを攻め立てる。 「い、あああああっ」 言葉は、言葉にならない。 喘ぎだけが、ティエリアの喉からもれる。 軽く揺さぶると、ティエリアの足がシーツを泳ぐ。 「ん、ん、いやっ、そこばっかりいやっ」 涙を零すティエリアの涙をすいとって、最奥までいっきに熱い熱を突き上げた。 何度か突き上げているうちに、またティエリアの瞳が真紅に変わった。 「ティエリア?」 「僕が、上になる」 「いや、そんな無理しなくていいから」 そんな言葉も無視して、ティエリアは体勢をかえると自分からロックオンの熱を受け入れる。 「んんっ・・・・はっ」 ズ、ズズっと、音がきこえた。水音と一緒に奥までくわえこんでいく。 でも、そのまま動かなくなった。 「な?無理すんなって」 下から突き上げると、ティエリアは一際甲高い声をあげて啼いた。 そのまま、押し倒す。 中をえぐられて、ティエリアが啼く。 「やあああ、ああああ」 「ティエリア?大丈夫?」 「へ、いきだから・・・・・」 「ごめんな。いつもより、長くなって」 ティエリアに優しくキスをして、ロックオンは果てた。 「んっ!」 熱い熱を最奥に感じて、ティエリアは目を閉じる。 無性であるため、避妊はしていない。だが、行為が終わると必ずロックオンはティエリアをシャワールームに連れて行って、中からかきだし、全身を洗い清める。 生理的に流れた涙を、手で掬い取る。 「もう、一度」 「でも、それじゃあティエリアが」 「ロックオンはしたくない?」 「すっげーしたい」 「なら、好きに・・・あなたと一つになるのは、嫌いではない。好き、というまではまだなれていないけれど」 「気絶してもしらねーぜ?」 「ああう」 ロックオンはまた行為を再開した。 結局、ティエリアは次の日ベッドから起き上がれなかった。 ロックオンは、スケジュールもなにもかも放棄して、ティエリアを抱きしめてベッドで一緒に眠る。 ふと、ティエリアが目覚める。 ティエリアの動きに気づいて、ロックオンも目覚める。 「大丈夫?」 「・・・・・・大丈夫じゃない」 「だから、無理すんなっていったのに」 「だって、いつもあなたは私ばかり気遣って・・・」 「いいんだよ。俺は。ティエリアがきもちよくなってくれればそれでいいんだから」 「だけど、それでは」 「SEXは麻薬みたいなものだっていうけど、そんなんでティエリアを抱きたいわけじゃない。劣情なんかで抱くかよ」 「あなたは、いつだって優しすぎる」 「でもまぁ、ごちそうさま」 ティエリアは紅くなって、毛布を頭までかぶってしまった。 「なぁ、知ってる?昨日みたいなの、襲い受っていうんだぜ?」 「襲い受・・!」 「誘い受もほとんどしないのにな。満月様様か」 「バカ!」 真っ赤になったティエリアに、ロックオンはベッドから蹴り落とされた。 「平気?体」 「・・・・・・・うん。多分、乱暴にされても平気だと思う。人間とは違う造りになってるから」 「ばか!誰がお前を乱暴に扱うかよ」 ロックオンは、ティエリアの髪をぐしゃぐしゃにした。 「愛してるよ」 「うん・・・・知ってる」 ティエリアは、大きな石榴色の瞳でロックオンを見上げる。いつものティエリアだ。 昨日のティエリアは、フルムーンの魔力で少し魔法にかかったんだろうと、ロックオンは思った。 **************************** ここ、18禁サイトに分類されてますが18禁がない。 なので書いてみた。 ・・・・・・・・うちのティエは無性の上に女性化で、体の造りは少女みたいなかんじ。 これ、BLじゃないきがするんですけど。 でもまぁ、BL好きな人は脳内で変換してください。。。 いつもお世話になっているタチバナ様へ。 エロ話捧げてどうするよ、おれ。 挿絵なつもりではないのですがイメージで。・・・イラスト壊滅的だけど。むしろ文章をさらに低くさせて(ゲホ) 一応元絵描きオンリー(?)だったんだよなぁ。今思うと考えられない。 文章のが楽です。タチバナ様、読んでひかないで・・・げふ。いや、一般の方も(書いてる時点でだめだよ俺) |