聖痕。 人はそれをスティグマ、神の奇跡と呼ぶ。 「やはり、残るのだな、傷痕は」 「このままでいいと、何度でもいっている」 「刹那の体に傷がついているのは、僕は嫌だ」 「ティエリア」 アリーに撃たれた部分は完治したものの、銃の痕は残ってしまった。 裸の右肩のその傷痕に、唇を這わすティエリア。 「スティグマ」 「聖痕か」 「そう。もしも残るとしたら。僕への傷跡は、刹那、君がつけろ」 「無茶なことをいうな」 ちりりと、焼けるような温度が銃の傷痕からした。 ティエリアが噛み付いたのだ。 「ティエリア」 組み伏せて、ベッドのシーツに縫い付ける。 ペロリと、ティエリアは唇についた刹那の血を舐めとる。 ゾクリとした。 この女神のような美しい無性の天使は、時に悪魔のようだ。 「覚悟しろよ」 「ふん」 ティエリアを引き裂く。 熱は、ティエリアを翻弄する。 無性であるティエリアに備わった器官は、SEXのためにあるものではない。だが、女性になろうとあがく故に作り上げられたもの。ソドムの愛し方をしない二人。それはティエリアの決めたことでもある。 「ぐ・・・・・」 「力を抜け」 「無理をいうな、あっ、ぐううう」 濡れてもいない秘所をいきなり引き裂かれれば痛いに決まっている。 「痛いか」 「痛いに決まってる」 「やめるか?」 「いい。最後までしろ」 刹那はティエリアの奥まで引き裂いていく。 「ひっ」 何度か突き上げられていくうちに、ティエリアの声がかわる。 「いあう」 「シーツを掴むな。俺の背に爪をたてろ」 ティエリアは言われた通りに刹那の背に爪を立てる。 「あーーー」 「ティエリア」 水がぬれたような淫靡な音が結合部から聞こえる。 「落ちてしまえ」 「落ちる、ものか。んっや!」 敏感な場所に指を追加されて、ティエリアは涙をこぼして首を振る。 「いやあああ」 去っていこうとする刹那を引き止める。 「ティエリア?」 「果てるなら、僕の中で果てろ」 「くっ」 熱が交じり合う。 ぜぇぜぇと、二人して獣のように呼吸する。 こんな荒っぽいSEXは久しぶりだ。いつもはティエリアを労わって、ティエリアの快感を先にするのに。 「誓え。俺のものであると」 ティエリアが、瞳を金色に変えて、刹那の傷跡に舌を這わす。 「ならお前も誓え。俺のものであると」 二人は溶け合ったまま、息を止める。 「・・・・・・・・・・・ふ」 「うあ」 ドロリと、中からひきぬかれた感触と一緒に刹那の体液が太ももを伝う。 刹那はティエリアを抱き上げて、シャワールームに入る。 ティエリアは意識を失っていた。 誓っても誓っても。 ティエリアは、俺だけのものにはならない。 なぜなら、ティエリアの心はニールが連れ去っていってしまったから。 ************************* |