血と聖水X「ネイU」







リジェネはペガサスを召還し、刹那は金色の鷹にのり、ティエリアはシルフの風を身に纏い、三人で一斉に攻撃にうつった。
ビームサーベルの光が、太陽の光に反射する。
子供のエターナルの翼を刹那のビームサーベルが切り落とし、リジェネが片腕を切り落とし、そしてティエリアが心臓を貫く。

血を滴らせながら、子供はにっこりと笑った。

「ライフエル」
「御意」
命の精霊神ライフエルが、子供のエターナルの傷を癒す。

「ライフエル!てめぇ、じゃますんな!」
「我は契約に従うのみ」
ロックオンは吼えた。
「ライフエル!!俺のと契約を忘れたか!!!俺だけと契約をかわすと誓っただろう!」
ビクリと、貴婦人が揺れた。ライフエルも精霊である。契約に従う、それが掟。
「そなたは・・・・?」
「ライフエル!俺がわかんねぇのかよ!」
「我は・・・・・」
「ライフエル、いいよ、下がってて。僕はネイ。ブラッド帝国の真なる皇帝。血の一族の神」

「いっけえええ、刹那!」
「いけ、刹那!」
リジェネとティエリアが、刹那のフェニックスに、リジェネはイフリールを追加し、ティエリアはサラマンダーを追加して叫ぶ。
炎の上位精霊フェニックスの炎は、精霊王の炎なみにふくれあがっていた。
そのまま、ネイと名乗る子供を包み込み、膨れ上がって爆発した。
凄まじい衝撃がくる。
刹那は肩で息をしている。ティエリアもリジェネもだ。
ライフエルのことなんて、後回しだ。敵の正体を見極める暇もない。
今回のターゲットのロードヴァンパイアは、ただのヴァンピールになっていた。
そうしたのは、恐らくこの子供。

刹那はビームサーベルを手にとる。
リジェネは銀の短剣を投げ込む。
「血と聖水の名において、アーメン!」
ティエリアは、二丁の銀の銃で子供の額と心臓を撃ちぬく。
その瞬間を狙って、刹那のビームサーベルが子供の首と胴と切り落とす。
「今だ、リジェネ!」
「我が血に潜む闇よ、食らいつくせ!!!」
リジェネは、血を解放する。
ブラッディイーター。ソウルイーターと対をなす、危険な魔をリジェネは血の中に飼っている。
血の本流が襲い掛かる。
いくつもの刃となり、牙となり、そして剣となり。
じゅるじゅるじゅる・・・・。
ブラッディイーターが血を啜る音がする。
本来なら、リジェネはいつもブラッディイーターを解放しない。なぜなら、味方にまで襲いかかるからだ。
これだけの力のある敵は、解放する必要があると判断したのだ、リジェネは。
血を啜られながら、子供は笑っていた。
首は胴から離れているのに宙に浮いたまま。翼もないのに。

「ブラッディイーター?珍しいの飼ってるんだね。ライフエル」
「我は・・・・・・」
動揺している金色の、太陽の瞳と月の銀の瞳でライフエルは頭をおさえていた。
「もう、いいよ。自分で治すから」

「な!!」
「ばかな!」
「あそこまで深手をおっていながら、再生するというのか!?」

刹那とティエリアとリジェネの目の前で、ズタズタに引き裂かれた子供は、何もなかったかのように微笑んでいた。
「だから、いってるじゃないか。僕はネイだって」
ブラッディイーターはリジェネの中に戻る。
子供は、首と胴が元に戻り、そして炎に包まれてずるずるになった肉体もすべて、再生してしまった。
背の白い翼も再生した。
 




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