血と聖水X「帰還」







「ネイ、茶をいれい。ケーキがなくなったぞ。補充してこい」
「ロックオン、僕の分も」
「俺の分もだ」
ティエリアとロックオンのホームには、リジェネとライフエルの他に刹那という居候が増えた。
もっとも、一時のことではあるが。

「お前らなぁ、自分で動け!働け!!」

ティエリアはフェンリルを抱きしめて、ぼーっとしていた。
「結局・・・・なんだかなぁ。帝国の皇帝はかわったのかな?」
「ああ、選挙で新しい皇帝が選ばれた。先代皇帝イブリヒムと同じくネフィリアの、ネイのクローンに関わった者は皆処刑されたそうだぜ」
「新しい皇帝は、いい人だといいね」
「平民から新しく選ばれたそうだし。貴族どもも新しい皇帝に忠誠を誓ったようだから問題ないだろう」
ロックオンは、茶をケーキを人数分用意しながら答える。

「そういえば、最近白梟のブラド見ていないね?」
「ああ、あいつ帝国に帰ったよ。おれが命令した。帝国の最新情報が欲しいからな」
「ロックオンも、大変なんですね」
「まー。夜の皇帝じゃないとはいえ、その血族なんだし。血の帝国を敵に回したくないしな」
「僕は、ロックオンとなら、何処にでもついていきますよ」
「おうよ!腹減った。血吸わせて」
ロックオンは、バリバリとフェンリルに爪で顔をひっかかれながらもティエリアを抱き寄せて、首に牙をたてる。
「あっ」
そのまま血を吸われて、ティエリアは押し倒された。

「おい、このスケベ。交尾なら寝室でしろよ」
刹那がロックオンにスリッパを投げる。
「このケダモノが!ティエリアに何をするかー!」
リジェネが投げたケーキは、ロックオンの顔面にベチョって綺麗に決まった。
「ホホホホ。ティエリアよ、はよネイの子を身ごもれ」

その言葉に、貧血でぐったりしていたティエリアが顔を真っ赤にした。
「僕は中性だから!」
「何、することはしとるのじゃろ?中性でも可能性はゼロというわけではない。命の精霊神がいうのだから・・・うん、嘘じゃ」
「からかうなよ、ライフエル」
ロックオンが、人工増血剤を噛み砕いてティエリアに飲ませる。

「ん・・・・・」
ティエリアは水を飲みながら、はやく二人で落ち着きたいと思った。

次の日、刹那が自分のホームに帰ることになった。
鷹を召還し、巨大化するとそれにシュタッと・・・・乗ったようでみすって、頭からゴンって墜落してた。
血をダラダラ流しながら、刹那は荷物を背負い直すとまたシュタッと飛び乗って、今度こそ鷹に乗って帰っていった。

「僕もそろそろ帰るかなー」
「おう、いい加減帰りやがれ!」
「では、我も精霊界に帰るか」
「帰れ帰れ!!」
ロックオンはしっしと手を振る。ティエリアは苦笑いしていた。
ペガサスを召還して帰っていくリジェネ。ライフエルは精霊界に帰った。

「さて。ティエリア、これで思いっきり交尾ができるな!」
ティエリアは、ロックオンを往復ビンタした。
「一人でしててください」
「そんな、ティエリア〜〜〜」
「バーカバーカ、主に捨てられろ、だにゃ」
フェンリルは、ロックオンの頭をがじがじとかじってから、ティエリアの後を追って家の中に戻っていった。


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