聖棺の中で眠れ「守護天使、我にあり」







その日は快晴だった。
「何処に行く?」
「どこでも」
中性的な衣装を着たティエリアは、ロックオンとデートに出かけた。

ヨーロッパの町をさまよう。名前なんて知らない。
適当な映画館で映画を見てから、水族館にいってそれから植物園にいった。
移動ばかりで疲れたけれど、ロックオンが自分のためにデートしてくれるのはとても嬉しかった。
夕暮れの、帰り道。
植物園で売っていた小さな鉢を購入した。
「それなんて花?」
「忘れな草」
「へー。小さいな。水色でかわいい」
「花言葉は、私を忘れないで」
「ロマンチックだなぁ」

そのままレストランで食事をして、ホテルをとった。

大きなダブルベッドで二人して飛び跳ねて、枕を投げあった。

「ロックオン。お願いです。僕のこと、忘れないで」
「なんでそんなこという?忘れるはずないだろう」
「本当に?」
「ああ、約束する。お前をずっと守るって」
「ありがとう」
ティエリアは安心したかのように、バルコニーに出た。

「見て。夜景が綺麗」
「うん、綺麗だな。でも、お前も綺麗だよ」
「それは僕が、そんな容姿に作られているから・・・・・」
「心が汚ければ、こんなに綺麗になるはずがない。天使」
「ロックオン。僕は天使になれるかな?」
「なれるよ。いつかきっと」
「そしたら、あなたの守護天使になる!」
ティエリアは微笑んで、夜景を目に映す。

「守護天使になって・・・・いつまでも、あなたの、傍で、あなたを、愛して・・・・・・・・」
夜景の光に溶けていくのかと思った。
哀しい微笑を浮かべたまま、このまま空気に溶けていきそうで、ロックオンはティエリアを胸にかき抱く。

「どうか。いつまでも、私のことを忘れないで」
「忘れない・・・・・・・・」
二人は深いキスをして、そのまま二人でベッドに倒れこんだ。


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