祈りの数だけ「転生」







ティエリアは、願い通り、エーテルの海に還った。
そして、ニールも一緒に。

ニールはティエリアの守護天使として生きるはずだった。だが、それも無理なほどティエリアの魂は壊れかけ疲弊していた。
世界に還ることを願うなら、守護天使までは還らないのだ、ニールはティエリアについていった。
エーテルの海を眺めて、ジブリールは歌う。
新しい命がこの海からまた生まれることを。
そして、エーテルの海を漂う魂は、天使の卵となって、世界樹の木に実るのだ。


「ティエリア!廊下を走るんじゃありません!」
ジブリールが衣服の裾をふんづけてこけた。
「次代ラファエルはあなたなのですよ!公爵として、もっと上品に」
ジブリールの上を、ニールが踏んづけて走っていく。
「こら、ニール!守護天使がよりにもよって公爵を踏みつけるとは何事ですか!」
「ジブリール、あとでおやつつくってー」
「はいはい・・・・じゃありません、ティエリア、ニール、待ちなさい!」

ジブリールの傍仕えの女官の天使たちがくすくすと笑う。

生まれながらに1位の天使の誕生は久しぶりだ。
しかも二人生まれた。ティエリアとニールの魂が、エーテルの海を経て天使の卵から生まれたのだ。
名前は人間だった頃と天使だった頃のものをそのままつけた。

二人はエーテル・ゼロの現象をおこしていた。
魂と同時に、記憶の継承である。

「ニール、あっちで猫天使と遊ぼう」
ティエリアはエーテルの海を経たことにより、感情が豊かになった。
「ティエリア、それより授業は?」
「さぼるの!」
「ジャボテンダーさんの授業だぜ?」
「それは、ぜひ出席しなくては」
至高天は、天使だけでなく主が創造した愉快な生物もすむ場所。エデンとは違い、厳しい階級制度や身分制度のある天使社会だが。

「いつか、僕は最下層天使の奴隷をこの至高天から消すんだ」
「消す?」
「そう。階級制度は仕方ないけど、誰もが平等な身分制度のない世界を造る」
「古い伝統を壊すのか。面白そうだな!」
ニールはエメラルドの瞳で、ティエリアに抱きついた。二人は同い年だ。
1位の階級、公爵と伯爵として教育されているが、いつも四六時中べったりで、ジブリールが二人の教育を任されている。

「いつか、人間世界を見に行こうか」
「そうだね。見に行こう」
二人が生まれた、人間世界をいつかこの目で。
 




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