血と聖水Y「決意」








ロックオンは、にっこりとティエリアに微笑みかける。
返り血がティエリアを真っ赤に染め上げる。
トプン。
ロックオンは、血の海の中に沈んでいった。ロックオンをさしたエターナルも、血の海に沈んだ。

ティエリアは血まみれになりながら、フェンリルを抱きしめていた。
ロックオンの血は生暖かかった。。
美しい女性のエターナルに、心臓を貫かれ、そのまま血の海に巻き込まれて消えてしまったロックオン。
ガタガタと震えるティエリア。
涙をこぼして、ロックオンが消えてしまった血だまりを見る。

「いやああああああああああ!!」
絶叫は、空にまで届いた。
半狂乱になったティエリアを、やってきたリジェネが頬を叩いて正気に戻した。
空には、金色の鷹に乗った刹那もいる。
「しっかりしなよ、ティエリア。あのロックオンが、死ぬわけないだろう!!」
ロックオンが刺された現場を見ていたのだ。
「でも、リジェネ!僕の目の前で、心臓をさされて、血の海に消えて・・・・」
「死んでないだろう!ヴァンパイアは死ぬと灰になるんだ」
その言葉に、ティエリアははっとなる。
そして、残されたロックオンの血が文字を地面に形どる。
「血の帝国にいる。くるな。いつか、必ず帰る」

ヒュルルル、ドカン。
20メートルの上空から飛び降りた刹那は、頭か落下して上半身を土にのめりこませて、足だけでばたばたしている。
リジェネが刹那をひっこぬく。
「ちょっと、雰囲気考えなよ」
刹那は、血の文字を見て、ティエリアを見る。

「俺は、ロックオンに呼ばれた」
「僕もだよ。血の帝国で皆でいって教皇庁に怒鳴り込みにいくって」
「ロックオン・・・・僕は」

ティエリアは、血の文字を見つめてから、拳で涙を拭った。
「僕は、あなたに守られるだけの存在じゃない!僕はあなたを守る!あなたを助けにいく!!」
子猫になったフェンリルは、ボロボロで泥だらけのままティエリアの頬を舐めた。
「主、僕も行くにゃ・・・・」
「ありがとう、フェンリル」

「無論、俺もいく。そのつもりで準備をしてきた」
「僕もね」
刹那とリジェネが、ティエリアの肩を叩いた。
「大丈夫、相手は教皇庁のヴァンパイアで強攻策に出たんだろう。ロックオンは生きている」
「敵は、恐らく教皇アルテイジア」
「それでも、僕はいく。みんな、僕に力をかしてくれ!」
「勿論だとも」
「異論はない」
「どこまでもお供する、にゃ!」

ティエリアはホームで血まみれの体を洗って、服を着替え、荷物をまとめると、鍵をかけた。
「次に帰ってくるときは、ロックオンとフェンリルと一緒なんだから!」

三人は、血の帝国行きの船に、密航する。




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