血と聖水Y「ブラッド皇帝メザーリア」







「六枚の白い翼・・・血の一族の神の証」
刹那がぽつりと呟く。
「覚醒したのか、ティエリア」
「これ、覚醒なの?」

「大丈夫・・・・ネイ様の血に認められたんだよ。完全なる血族として」
アレルヤが、にっこりと微笑んだ。
「神よ、どうかこの子に祝福あれ」
十字架をかざし、ティエリアに祝福を与える。
白い六枚の翼は、すぐに光の泡沫となって消えてしまった。

「主、かっこいいにゃ!!」
「まぁ・・・・翼を出す時、次から翼が増えてるだろうけど」
リジェネがベッドに座る。
「ティエリアが、ロックオンの血族として目覚めたのなら、これは戦力増大だな。教皇とやらともたちうちできそうだ」
「もともとそのつもりだよ、刹那」
ティエリアは、銀の短剣の手入れをはじめる。

そのまま、1ヶ月かけた旅は終わる。
ブラッド帝国についたのだ。
ティエリアたちは、恭しくエターナルにかしずかれ、上等な馬車に乗せられた。
「あの、この行き先は?」
「皇帝、メザーリア様の宮殿です」
「皇帝・・・」
「表の皇帝だな」
刹那が馬車の中で、執事の格好をしたままフェンリルを猫じゃらしでにゃにゃにゃと、遊ばせる。
「皇帝と謁見ができるなら早い。教皇に会わせてもらえるように頼もう」
リジェネの言葉に、ティエリアが頷く。
「アルテイジア様・・・・・まさか本当に、教皇が反乱を企てていたなんて」
アレルヤは、仕事上教皇のアルテイジアに何度もあったことがある。とても美しい女性で、物静かな印象であったが、彼女がネイの血族になりたがっているという噂はどこでも囁かれていた。
実際、ネイに迫ったのだろう。そして、拒否された。
だから、クローンを作りだし、その血の血族になろうとしてクローンは表の皇帝を暗殺し、自分が皇帝の地位についたあげく、クローンの元であるネイを襲って、ネイになろうとした。

「つきました。どうぞこちらへ」
家臣に案内され、豪華すぎる宮殿の中に通される。

「メザーリア様。ネイ様の血族の方とお連れの方を案内しました」
「下がって」
「は」
薄いヴェールの向こう側に、華奢な陰が揺れている。
通されたのは、謁見の間ではなく寝室だった。

「ちこう。ネイ様の血をもつ者よ」
真っ白な手が、すっとティエリアに向けられる。
ティエリアは、その手に口付けた。
「美しいな、あなた」
メザーリアは、ため息が出るほどに美しい女皇だった。
まるで神話の神のように美しい少女は、ティエリアを見て惚れぼれとため息をこぼす。
「美しいな、あなた。私はメザーリア。32代目皇帝、メザーリア・アロス・エル・ブラッディ。あなたは?」
「ティエリア・アーデと申します」
「名前が短い。あなたの本当の名は・・・・ティエリア・アーデ・ネイ・フラウ・ブラッディ・ナハト・ブラッディ」
「え?」
「ネイ様の本当の名前。ネイ・フォーリシュ・エル・フラウ・ブラッディ・ナハト・ブラッディ」
「ロックオンの本当の、名前?ネイだけじゃないの?」
「今はロックオンと名乗っておられるか。フォーリシュ・エルはネイ様個人の名前。ネイ・フラウ・ブラッディ・ナハト・ブラッディは、血族にされた者に与えられる名前。だから、あなたはティエリア・アーデ・ネイ・フラウ・ブラッディ・ナハト・ブラッディ。血の神の一族の姫王よ」
女皇帝は、ティエリアの前に立つと、膝をついた。
「あ、あの!僕、そんなに偉くありませんから」
「ティエリア様。ネイ様の姫王。美しいな、あなた。口付けることをお許し下さい」
メザーリアは、ティエリアの手をとって恭しく口付ける。

その様子を、刹那とリジェネ、アレルヤはぼーっと見ていた。
フェンリルもぼーっとしている。
この世界でこんなにも美しい存在があるのかという二人が、動いて会話をしているのだ。無論、リジェネもティエリアの双子であるのだから美しいが、ネイの血族となって目覚めたティエリアは更に美しかった。



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