血と聖水Y「全力でぶつかれ」







ティエリアは皇帝として、女官や家臣たちにかしずかれながら、教皇庁に入る。
教皇庁は、独立した機関であって、皇帝ですらもそうそう手出しが出来ぬ存在である。

「お待ちしておりました、メザーリア様」
リジェネと刹那、アレルヤは家臣に化けている。フェンリルはティエリアの隣をとことこと歩く。
「主、かっこいいにゃーー」

「ここでお待ち下さい。教皇を呼んできます」
巫女が出て行った。
しばらくして、教皇アルテイジアが現れた。
「久しいなぁ、皇帝よ。俺になんの用かねぇ。皇帝、お前もネイの血族になりたくなったか?」
ティエリアは、後ろ手に短剣を引き抜く。
ヴェールごしに見えたその顔は、間違いなくロックオンを剣でさしたエターナルの女性。
「いつ見ても、その背の六枚の翼は美しいなぁ。ネイの血を継ぐお前が羨ましいわ」
ティエリアは、その時意識を途絶えさせた。
「ネイ・フラウ・ブラッディ・ナハト・ブラッディの名において、汝を滅殺せん!ネイを返せ!」
真紅の短剣は、確かに狙い違わず教皇の心臓に突き立てられた。

「ぎゃあああああああ、お前、お前・・・・皇帝ではないな!」

絶叫して、教皇は血を吐いて、真紅の短剣を引き抜こうとするとが、短剣は生き物のように深く更に食い込んで引き抜けない。
「これは、ソウルイーター!くそ、お前!!」
ずるりと、ティエリアの頭からウラウンとヴェールが外れる。
それに教皇が驚く。
「ネイの・・・・血族か!」

扉を破って、刹那とリジェネとアレルヤとフェンリルが現れる。
「ネイはなぁ・・・・ほら、ここからならネイがよく見えるだろう。血で支配しているのに、未だに屈服しやがらない。ネイの血族は俺一人で十分!」

「ロックオン!!」
床が一部落ちて、その下に十字架にかけられたロックオンの姿があった。
いくつものノズルが伸びている。
血液が絶えずいききしているのが分かる。

ドクン、ドクンと脈打つロックオンの核が、外に出されていた。

うっすらと、ロックオンが目をあける。
「ティエ・・・・なんできやがった・・・・まってろって・・・・・くそ・・・」
「今助けます!」

ティエリアは、皇帝の衣装のまま、銀の銃を二丁取り出した。
「ヴァンパイアハンターどもか」
教皇は、心臓にソウルイーターを食い込ませ、顔をゆがめながらも真紅の血の刃を何本も飛ばしてきた。

「お前なんかに、僕は負けない!!!」
「エンシェントフェニックス、燃やし尽くせ!!」
「ブラッディイーター!血を吸い尽くせ!!」
ティエリアは銃を何度もうち、刹那ははじめから精霊王を召還してアルテイジアに向ける。
リジェネは、ブラッディイーターを解放して、血の渦で同じく教皇に攻撃する。

「「「血と聖水の名において、アーメン!!!」」」
三人の声が、同時に響き渡った。


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