6月の魔女(魔女と魔王シリーズ)







「はははは。6月の魔女だ」
「なんだそれは」
小さなルルーシュは、ビラビラしたC.C.の衣装に声をなくした。
「ウェディングドレス?」
「どうだ。似合うだろう」
くるくると回るC.C.は、確かにビラビラしたそのウェディングドレスは似合っていた。
「6月の花嫁か」
小さなルルーシュはドーナツを食べながら、上機嫌の母親を見る。
「馬子にも衣装」

ギリギリ。
C.C.は片手でルルーシュの首を締め上げた。

「ああん、聞こえなかったぞルルーシュ。もう一度言ってみろ」
「馬子にも衣装!」
ルルーシュは、負けない。

「ふん。かわいげのない」
ルルーシュをぽいっと捨てるC.C.。
「ナナリーも、ウェディングドレスを」
「ナナリー!!」
ルルーシュはC.C.を置いてナナリーの下に去っていった。

「ナナリー、なんて可憐で麗しく乙女で美しいんだ!」
「まぁ、小さなお兄様。褒めても何もでませんよ」
「まるで精霊のようだ」
小さなルルーシュはジーンと感動して、ナナリーのウェディングドレス姿を見つめている。
「は・・・・!まさか、ナナリー、誰かと結婚する気か!?このお兄さんが許しません!」
「まぁまぁ、小さなお兄様ったら。ただの試着ですよ」
「なら良かった」

ルルーシュは心から安堵した。
「そういえば、C.C.さんもお兄様に見せたいとドレスを着ていらっしゃったのですが?」
「あー。馬子にも衣装」
ナナリーは吹き出した。
C.C.とルルーシュは、結婚していない。今の小さなルルーシュはC.C.の私生児である。ナナリーが認知をして、ルルーシュの子供であると認められたのだ。

「お前は、ナナリーのことになると性格が変わるな」
ビラビラしたウェディングドレスを着て、遅れてC.C.がやってきた。

小さなルルーシュは笑って、生けられた花瓶から薔薇の花を二本取り出す。

「どちらも似合っていますよ、レディ」
C.C.とナナリーは笑ってその花を髪に飾るのだった。