カキ氷(魔女と魔王シリーズ)







「かー、きくー」
C.C.はカキ氷を食べて頭がキーンとしていた。
「夏だなぁきくー」
膝に小さなルルーシュは座って、同じくカキ氷を食べて頭がキーンとしていた。

チリンチリン。
アリエス宮の館に吊り下げられた風鈴が涼しげな音を落とす。

「おいしいですね、小さなお兄様」
「頭にキーンとくるね」
ナナリーは車椅子の上で、スザクは椅子の上でカキ氷を食べている。

いつもの平和なアリエス宮の日常。
執務を終えた皇帝は、アリエス宮で一日を過ごす。本宮殿で過ごすこともあるが、ルルーシュと一緒にいるためにアリエス宮にいることが多い。

C.C.のカキ氷はレモン、ルルーシュはメロン、ナナリーはみぞれ、スザクはイチゴだった。
「C.C.、レモン食べたい」
膝に座る愛しい恋人の精神を宿した幼い息子に、C.C.はスプーンですくったカキ氷を一口食べさせる。
「私はみぞれが食いたい」
「どうぞ、C.C.さん」
ナナリーがみぞれのカキ氷を差し出す。
「僕はメロンがいいな」
スザクはルルーシュのカキ氷を分けてもらった。

四人で、2杯目のカキ氷。
シロップはまた同じもの。

「「「「かー、キーンとする」」」」

大人二人と永遠の少女一人、それに幼い子供が揃って頭をおさえている、変な図。

「じゃあ、僕は戻るね」
スザクは本宮殿に去っていく。ゼロの姿に戻り、シュナイゼルと皇帝の補佐として片付ける仕事があるのだ。
「では、小さなお兄様、また夜に」
ナナリーの車椅子を押していくスザクに別れを告げる。
「また夜にな、ナナリー」
ルルーシュはスプーンをくわえたまま、手を振った。

「ルルーシュ、まだ食べているのか?」
C.C.が戻ってきた。
「カキ氷気に入ったのか?」
「んー。昔を思い出す味だ」
こんどはシロップをみぞれにしていた。
「ルルーシュ、舌を見せてみろ」
べーって見せると、C.C.が笑ってルルーシュにデコピンした。
「メロンなんか食べるからだ。舌が緑色だ」
「そういうC.C.はどうなんだ!」
C.C.も見せるが、色はレモンはそんなに目立たない。
メロンとかブルーハワイなんかの青や緑が特に目立つ。
「爬虫類のようだぞ、ルルーシュ」
「・・・・・・・がおー」
「アホか」
C.C.は笑ってルルーシュにまたデコピンした。
小さなルルーシュは、カキ氷の器をずっともっていた手を、C.C.の頬のあてる。
「つめたー!!」
「ざまぁみろ」
C.C.はルルーシュの首根っこをつまみあげて、抱きかかえると外に出た。

「夏だなぁ」
「今度、花火をあげるそうだぞ。ナナリーの即位記念日だ」
「夏祭りはあるかな」
「あるんじゃないのか。日本から技師を呼んでいるらしいし。花火も日本のものが綺麗だしなぁ」
「C.C.、わた飴買ってくれ」
「お前な・・・・ブリアニタの皇子だろうか。貧乏くさいな」
「庶民皇子万歳!」
C.C.はルルーシュにデコピンしてから、口付けるのであった。

「メロンの味がする」
「こっちはレモンだ」

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魔女と魔王シリーズ。
リエさまへ。